公立図書館の司書が交代で、おすすめの本を紹介します。
『戦場のコックたち Armed with Skillets』
第2次世界大戦中、仲間内のノリで志願兵になったアメリカ人のティム,19歳。食いしん坊のティムはコック兵になり、激戦地ノルマンディーに送られる。基地ではときどき不可解な出来事にも遭うけれど、ティムは同僚のエドや仲間たちとその謎を解いていく。もちろん戦場ならではの料理も登場。
でもコック兵といっても、ひとたび戦闘となれば鍋を捨てて銃をとる。最初は緊張し、死体におびえていたティムも、後半ともなれば躊躇なく人に銃を向けるように。その変化に鳥肌が立つ。
心安らぐ風景は壊滅し、やんちゃした仲間はもういない。
生き残った罪悪感に苦しみ、戦いの意義を見失い、日々けずられていくティムの精神が痛々しい。死んでも生き残ってもつらい、それが戦争なのだ。一転、おだやかなエピローグに救われる。友情に涙。
* *
仙台市民図書館(宮城県)
司書・伊藤恒子
外部リンク