丸亀市は姉妹都市スペイン・サンセバスチャンとの友好をさらに深めようと、現地で親しまれているワイン「チャコリ」にちなみ、姉妹都市提携を調印した4月9日を「チャコリの日」に制定する。サ市は「美食世界一の街」として国際的に知られ、姉妹都市は日本で唯一丸亀だけ。この恵まれた“縁”を有効に生かすため、チャコリの日の制定を機に市民に改めてサ市の食文化と魅力を伝え、「美食の街丸亀」に向けた機運醸成を図る。
市によると、両市の交流は1985年、サ市出身の丸亀聖母幼稚園長(当時)が卒園生8人を交流学習のために現地に引率した際、丸亀市長と教育長の親書を持参したのが始まり。91年に姉妹都市提携に調印し、丸亀から中学生の親善使節団を派遣するなどの交流を続けている。
サ市は人口18万人ほどでスペイン北部バスク地方に位置する。ミシュランの星の数が人口1人当たりで世界一なほか、指でつまんで食べる一口サイズの軽食「ピンチョス」やバスク地方原産のチャコリなどを味わう「バル(居酒屋)」が密集。美食世界一の街としてここ十数年ほどで知名度が高まり、バル巡りなどを目当てに世界中の人が訪れる。
国内の自治体では、サ市にならった食や観光のまちづくりを図ろうとする動きが出ている。丸亀では若手ボランティアらの実行委が2015年から、丸亀バルフェスティバルを富屋町商店街で開催し、バルを再現してサ市の美食文化を市民に紹介している。16年には梶市長ら市代表団が現地を訪問。翌年はサ市長が丸亀を訪れ、今後の友好と交流を再確認した。
こうした動きを受け、市は「チャコリの日」制定を通して、サ市とのさらなる友好関係の構築を目指す。今後の取り組みでは、サ市のシェフによる丸亀の食材を使ったレシピの考案などが考えられるといい、さらに将来的には、民間の盛り上がりによる食を生かした地域振興にもつながることが期待される。
14日には丸亀城大手門広場で制定記念パーティーを開催。午前11時からのセレモニーの出席者や天守の入場券を持つ人にチャコリを振る舞う。チャコリを高い位置から注ぐ「エスカンシア」の実演などのセミナーに加え、ステージイベントなどもある。