「学力の3要素」を高める
「大学入試改革」は入試だけをかえようというものではありません。高校での学び、大学での学び、そのあいだにサンドイッチのように位置する大学入試――。
これらをいっしょに改革しようとするものです。今回は、「高大接続改革」ともよばれるこの改革について、背景や求められる学力を解説します。執筆・小澤尚登(駿台中学部・高校部)
高校と大学の学びを一体化
文部科学省のウェブサイトには「高大接続改革とはどのような改革ですか」という問いに、大まかに次の内容が書かれています。「グローバル化(国際化)や新しい技術で世の中が大きくかわっていくなかで、対応できるような力を育てることが必要です。
このためには『学力の3要素』を育てることが重要で、これを高校教育で育て、大学教育でのばし、それをつなぐ大学入試でも、さまざまな面から総合的に評価し、一体的に改革を進めていく必要があります」「学力の3要素」の一つが「知識・技能」で、学力の土台になるものです。
もう一つが「思考力・判断力・表現力」で、知識として理解していることを、どのように使うかという力です。
さらに「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」として、身につけた「知識・技能」をもとに「思考力・判断力・表現力」を用いて自ら学び、さまざまな考え方を理解したり、いろいろな方法で自分の考えを表現しながらグループとしての意見を形づくったりすることをめざします。
これらの要素は、新しい社会を生きぬくために育てるべき力とされ、今回の改革の柱でもあります。
技術の発展や国際化に対応
みなさんが社会の中心で活躍するころ、日本では人口が少なくなる一方、国境をこえたグローバル化がさらに進むことが予想されます。
人工知能(AI)をはじめとするさまざまな新しい技術が、日常生活にも広がっていきます。いろいろな労働は機械が取ってかわる世の中がやってくるでしょう。
必要とされる学力も、これまでの「知識・技能」を中心とするものから、人間らしさでもある「思考力・判断力・表現力」も重視するものに変化します。
グローバル化が進むなかでは、外国の人たちといっしょに力を合わせて働き、自分自身も考えて、物事を成しとげていく能力も必要になります。
そのためには「世界共通語」ともいえる英語を自由にあつかえるよう、「4技能」(聞く、話す、読む、書く)をバランスよく身につけることも欠かせません。このような背景から「高大接続改革」がおこなわれるのです。
小学生のみなさんは、大きな教育改革を不安に思うのではなく、近い将来に大きくかわる世の中で生きぬくための新しい教育を受けられるのだと「前向き」にとらえてほしいですね。
また、中学生になるころから少しずつ自分で大学入試の情報を得るように心がけます。保護者のみなさんは、いまこの記事を読んでいるように、定期的に情報を得て、理解していくことをおすすめします。
保護者向け さらにくわしく
高大接続システム改革会議「最終報告」(2016年)では「先行きの不透明な時代であるからこそ、多様な人々と協力しながら主体性を持って人生を切り開いていく力が重要」「問題を発見し、答えを生み出し、新たな価値を創造していくための資質や能力が重要」としている
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