重くてクタクタの体を引きずって帰宅。なんだか毎日疲れているし憂鬱だ。そんな状態で過ごしていると思わず「ストレスが溜まってるなぁ」なんてこぼしてしまう。
こんなふうに、ストレスという言葉は既に一般化し、普段何気なく口にされている方も多いと思います。今回は知っているようで意外と知らないストレスと食事のお話です。
体に良くなさそうなものが食べたい!?
よく「ストレスが溜まったから甘いものをたくさん食べちゃった…!」なんておっしゃている方をお見かけするのですが、これには理由があります。
お腹がいっぱいになる時、体内ではセロトニンというホルモンが分泌されています。このセロトニンは精神を安定させ、幸福感を生み出す作用があるため、満腹の時に「ああ、幸せ☆」なんて思うのはこのホルモンがあるからこそなんです。
セロトニンは肉類や炭水化物…つまり糖質を食べた時に多く分泌される傾向にあるため、ストレスによって神経不安などが起こり、それが解消されないと「甘いものが食べたい!」という衝動が起こりやすくなるんです。
とはいえ、食事で分泌されるセロトニンは一時的に精神を安定させてくれるだけで、ストレスの緩和にはなりますが原因を取り除いてくれるわけではありません。
そのため、すぐにまたストレスが溜まってしまい、ストレス解消のために甘いものを食べて…とこのサイクルを繰り返すうちに、いつの間にか甘いものを食べるのが習慣化してしまっているケースも…!?
食べることがストレス解消法だ、という方は、
・甘いお菓子類
・脂質の多いもの(揚げ物など)
・肉類
1日のうちにこれらをどれだけ食べているのかを書き出してみて、冷静に自己分析してみるとよいかもしれません。毎食お菓子をデザートにしたり、揚げ物やファストフードを頻繁に召し上がっているようなら要注意!すでにストレスの悪循環にはまっている可能性もあります。
この悪循環で最も恐ろしいのは、いずれは食べない状態がストレスになってしまう可能性があるということです。「いつも何かを口にしていないとなんだか落ち着かないしイライラする…」
こんなふうに、最初はストレス解消のためのはずだったのに、いつの間にかストレスの原因になってしまっていたら本末転倒ですよね?最悪の状態では依存症になってしまっているケースもあるので、その場合は通院が必要になるほどです。
落ち着かない時に食べたいこんな食材
ストレスでイライラしている時に心を落ち着けてくれる食べ物は、甘いものだけではありません。いくつか例を挙げてみると、セロリの香味成分の一種であるアピインは精神を落ち着ける作用があります。
アピインは他にもハーブ類に含まれていることが多く、例えばカモミールをハーブティーにして飲むと不安を鎮める効果があると言われているのは、香りのリラックス効果のほかにアピインが含まれているからです。
また、リラックス効果を得られる成分ではギャバがあります。ギャバが豊富な食品には、じゃこ・ぬか漬け・トマトなどが挙げられますが、実は体内でも生成されています。
そのためには腸内細菌の働きによってつくられるビタミンB6が必要になるので、腸の環境を整えるヨーグルトなどもおススメです。
カルシウムも摂れるので、神経の興奮を抑えてイライラを鎮めてくれる効果も期待できますよ。節度を守っている分には、甘いものや脂っぽいものを食べても何も問題はありませんし、好きなものを食べている時というのはやっぱり幸せですよね。
無理な我慢をする必要はありませんが、時に冷静に振り返ってみるのも大切なことなんですね。
Text by はむこ/食育インストラクター
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