帰省や出張でよく利用する新幹線。私にとって大きな楽しみの一つは、車内販売のアイスクリームでした。しかし、その車内販売が一部の新幹線で廃止されました。「おなじみの味」はどうなってしまうのでしょうか。気になったので調べてみました。(八木みどり記者)
3月で終了 東海道、山陽、北陸はあるよ
JR各社によると、北海道、九州、秋田新幹線と、東北新幹線の「やまびこ」では3月15日を最後に車内販売を終了しました。このほかの東北新幹線や上越、山形新幹線の車内では、弁当や土産物の取りあつかいをやめ、飲み物やおかしなどにしぼって販売を続けるそうです。東海道(東京―新大阪)、山陽(新大阪―博多)、北陸(東京―金沢)の各新幹線はこれまで通りのサービスを続けます。
こうした背景には、駅構内にあるお店や、コンビニエンスストアが増えたことで、車内販売の売り上げが少なくなってきていることに加え、販売員も人手不足となってきていることが影響しているそうです。JR各社によると、車内販売の売り上げは2000年前後がピークで、現在はその半分以下だといいます。
車内販売が廃止されるというニュースが流れた際、インターネット上では、おなじみのアイスクリームが食べられなくなるのでは、と心配する声もありました。東海道、山陽、北陸新幹線では引き続き、買うことができるそうです。
全ての新幹線で車内販売がなくなるわけではありませんが、やはりさみしい……。
鉄道博物館では7種類販売
実は、新幹線に乗らなくても食べられる場所があります。埼玉県さいたま市にある鉄道博物館です。館内にある売店「駅弁屋」では、駅弁のほか、車内販売であつかっているのと同じアイスクリームを販売しています。
新幹線で買えるのはバニラなど限られた味だけですが、この駅弁屋では現在、バニラ味のほか、抹茶、モカ、ストロベリー、キャラメルヘーゼルナッツプラリネ、とちおとめいちご、りんごの7種類をあつかっています。車内販売を手がけるほか、駅弁屋を運営する日本レストランエンタプライズの兼平絵理さんによると「りんご味を食べられるのは、おそらく鉄道博物館だけではないでしょうか」。
夏の暑い日には、100個近く売れることもあるという人気商品の一つ。駅弁屋で買った商品は、館内に設置された「ランチトレイン」という車両の中で食べることができます。鉄道博物館の山崎郁子さんは「ランチトレインでアイスを食べて、旅行気分を味わってください」と話しています。
初めてみる味がいくつもあって、目移りしちゃいました!
固くとけにくい
ところで、車内販売のアイスクリームは、どうしてあんなにかたいのでしょうか。
製造する「スジャータめいらくグループ」にたずねてみると、理由の一つは、生乳と生クリームをたっぷり使って生み出す、乳脂肪分15・5%という濃厚な味わい。もう一つの理由は、より風味を引き立たせるため、アイスクリームの中にふくまれる空気の量をおさえて密度を高めていること。これにより、一般的なアイスクリームよりもとけにくくなっているそうです。
車内販売ならではの状況も関係しています。冷凍庫などではなく、より低い温度となるドライアイスを使って保管しているため、通常よりもさらにかたい状態になっているそうです。
買ったばかりだと、スプーンですくえないほどかたいアイスクリーム。よりおいしく食べるこつはあるのでしょうか。寄せられた回答は「アイスの状態にもよりますが10分ほど置いて、スプーンでなめらかにすくえるようになってから、新幹線の旅の風情を楽しみながらおめし上がりいただくとよろしいかと思われます」。アイスクリーム同様に「おかたい」回答でしたが、みなさまご参考に。
私は時間を計って、自分なりの食べごろを探してみたいと思います。
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