買い物をしたり、サービスを受けたりする時は、毎回お金をはらうのが一般的です。ところが、1か月ごとにお金をはらうことで「利用し放題」になるなどの「サブスクリプション」と呼ばれるサービスが最近、続々と登場しています。その背景には、「生活がいそがしくなったことなどがある」と専門家は話します。(小勝千尋)
デジタル分野から拡大
サブスクリプションは、実は身近なサービスです。みなさんが読んでいる新聞も、その一つ。携帯電話の料金などもそうです。近年、月額をはらってスマートフォンやパソコンで動画や音楽、雑誌、まんがなどが楽しめる、デジタルの分野でのサブスクリプションサービスが広がってきました。
映画やドラマなどをインターネット上でダウンロードし、スマートフォンやパソコンで見られる「ネットフリックス」(月額864円から)は、アメリカで始まったサービスです。すでにある作品だけでなく、オリジナルの作品も作っています。
「近年はデジタルに限らず、あらゆるものが『サブスク化』しています」とKDDI総合研究所で経済の調査をしている沖賢太郎さんは話します。ファッションや車、食べ物、美容院、レジャー施設などのサブスクリプションサービスが、ここ最近注目を集めるようになったといいます。
「メチャカリ」(月額6264円から)は、洋服などが借り放題になるサービスです。最大3点まで手元に借りておくことができ、気に入った商品は割引価格で買い取ったり、60日借り続けることでもらうことができたりします。
「サブスク化」は、飲食店でも。関東に16店舗ある「野郎ラーメン」には、看板商品3種(780~880円)を1日1杯までならいつでも食べられるサービス(月額9288円)があります。利用者は月に平均17杯ほどラーメンを食べているといいます。
一番安い商品でも、12杯以上食べればお得です。広報の近藤真吾さんは「月ごとに登録ができるので、『今月はあまり行けなさそうだからやめようかな』など、ライフスタイルに合わせて利用する方が多いです」と話します。
自分の自動車を買わずに、月額をはらうことで借りられるサービスも登場しています。いろいろな種類の車を試せたり、保険や車の検査がサービスにふくまれていたりします。
時間や空間を有効活用
サブスクリプションサービスの利用者は、使い放題などで、ふつうよりお得に欲しいものを手に入れることができます。ほかにも、買い物に行く、選ぶなどの時間を減らしたり、レンタルすることで、しまうスペースを取られなかったりします。
例えば、ファッションのサービスでは、服を借りるだけでなく、プロがコーディネートして選んでくれるものがあるそうです。
「共働きの家庭が多くなり、買い物や料理にかかる時間を減らしたいと思ったり、マンションやアパートが増えて収納のスペースが少なくなったりした現代の生活の変化に適応している」と沖さんは話します。
テーマに沿って選ばれた食品や化粧品などの商品をつめこんだ箱が定期的に届く「サブスクリプションボックス」のサービスも注目を集めています。普段手に取らないものを試せるなど、新しい出会いがあるといいます。
「利用者は、ただお得にものを手に入れるというよりも、サービスを買っているというイメージなのかもしれません」
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