【異能とは!?】 つきぬけた才能を持つ人を「異能」と呼びます。異能を支援するため、ソフトバンクグループ代表の孫正義さんが「孫正義育英財団」を立ち上げました。財団生に選ばれた第2期生が夢中になる研究を紹介します。
第4回 東京大学法学部4年 小松詩織(22歳)
私は「法律」×「中国」×「人工知能(AI)」という三つの研究テーマを軸に活動しています。
弁護士になるための「司法試験」に向けた勉強をしながら、2年生の春から東京大学の教授の仕事をサポートしています。例えば、2年生の夏休みには教授と一緒にフランス、ドイツ、イギリス、スイスなどを訪れ、各国トップクラスの製薬会社の役員へのインタビューに同行し、特許について勉強しました。
3年生の春には、視聴者が10億人いる中国の頭脳バトルのテレビ番組に日本代表として出演。同年夏、日中の国務大臣らが参加するイベントで、日本人代表の司会に選ばれました。そこでの活躍が評価され、秋には「日中友好青年大使」に任命されました。
冬からはリーガルテック(法律にAI技術を取り入れること)をあつかう企業でインターン(職業体験)をしています。この技術によって、企業のデータの中から必要な証拠をすばやく見つけることなどが可能となります。
「世界で活躍する弁護士になりたい!」。これは私の幼稚園の卒園式での一言です。4歳で出合った空中ブランコを通じて、グローバルな交流を幼いころから経験してきました。
その後、東京・桜蔭中に合格し上京。中学生のころ、1997年に起きたえん罪(罪をおかしていないのに、有罪の判決を受けること)事件の裁判のやり直し手続きが始まったことがきっかけで、えん罪事件に興味を持ちました。日本の刑事制度の課題や、外国とのちがいなどを研究して、中学3年生の時に論文にまとめました。
勉強面では、大きな模擬試験で1位をとり、高校卒業時に成績優秀者として「都知事賞」を受賞しました。また、大学の学部にいる間から大学院の授業も受けられる東京大学の推薦制度に合格。法学部に進みました。
入学後に日中を比べ、日本のおくれた法廷技術に危機感をいだきました。そんな時、リーガルテックによる法廷技術の進歩に興味を持ったのです。中国は先進的な技術を積極的に取りこんでいくので、きっとリーガルテックもなじみやすいにちがいないと考えています。
AIに支配されるのではなく、世の中を豊かにしていくために「法」と「AI」を合わせ、より高度な法的サービス、ひいてはそれにともなう争いの解決や経済の発展につなげていきたいと思っています。
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