空からのたより
「コラッ!かさで遊ぶんじゃない!」。私は小学生の時、買ってもらった大切なかさをふざけてこわしてしまいました。雨水をためようとかさをひっくり返したり、マンホールの穴にさしたり……。ごめんなさい、反省しています。みなさんはそんなことをせず、大切にしてくださいね。
かさは40個以上の部品でできているそうで、実はせん細な道具です。かさを使った後、水を切るためにクルクル回したり、トントンと地面にあてたりするのはよくないそうです。静かに開け閉めして水を切り、かげ干しをしましょう。
ところで、朝、学校に行く時、かさを持って行くかどうかまようことはありませんか? そんな時は、天気予報の「降水確率」に注目してみましょう。降水確率は「1ミリ以上の雨や雪が降る確率」です。
1ミリなんてたいしたことないと思うかもしれませんが、そうではありません。1ミリの雨とは平らな地面に1ミリの深さで雨がたまる状態で、例えば1平方メートルに1ミリの雨が降ると、1リットルになります。
もし、かさをささずに1時間に1ミリの雨が降っている中にいると、びしょぬれになってしまいます。私は、ぬれてかぜをひかないように、降水確率が30%以上の時にはかさを持って出かけることにしています。
さて、1時間に1ミリの雨ならかさで防げますが、もっと強い雨ならどうでしょうか。1時間に20ミリのどしゃぶりの雨になると、一面に水たまりができて、かさをさしていてもぬれてしまいます。外に出ない方がいいですね。
さらに、1時間に50ミリ以上の滝のような雨が降ると、水しぶきで辺りが白っぽくなって、かさはもう全く役に立ちません。これくらいの雨が降ると、土砂くずれや床下浸水などの災害が起こりやすくなるのですが、近年、こうした非常に激しい雨が増えてきているのです。
天気予報で「1時間に50ミリ」や「非常に激しい雨」という言葉があったら、十分な注意が必要です。11日は「かさの日」。かさのお手入れをしながら、おうちの人と雨や災害について考えてみましょう。
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鈴木晶子(すずき・あきこ) 日本気象協会気象予報士 関西学院大学卒業。2001年に気象予報士、07年には防災士の資格を取得。ラジオやテレビ番組での解説のほか、防災や環境をテーマにした講演も行っている。趣味は山歩き。
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