意見を求める「議論型」
小論文の問題には2種類あります。「議論型」と「問題解決型」です。議論型は、あるテーマに関する文章を読んで、その筆者の主張に「賛成」か「反対」かを表明するものです。問題解決型は、資料やデータなどを読み取り、あるべき姿と現状との差を「問題」として発見し、その問題が生じている「原因」を分析して、「解決策」を提示するものです。
最近は問題解決型の小論文が多く出題されるようになってきましたが、従来の小論文は議論型が多く、いわゆる「意見」を求める問題も議論型でした。今回は、議論型の意見の伝え方について説明します。
議論とは、ある考え方に対して賛成か反対かを表明し、どちらがより正しいのかを考えていくものです。ですから、賛成か反対かを決めなければなりません。この賛成か反対かが「意見」になります。
意見だけでは足りない
たとえば「高校生は受験勉強をするべきである」という主張に対して、賛成するとします。その意見はみんなに伝わるものになっているでしょうか?なっていませんね。
議論では反対派もいるはずで、「高校生であっても必ずしも受験勉強をすることはない」と考えている人もいるのです。つまり、意見を言うだけでは他者に伝わる文になっていないのです。
その「根拠」示して説得
そこで、意見に対する「根拠」を述べる必要があります。根拠を述べていくことを「論証」といいます。どうすれば、反対派の人を説得できるかを考えます。
「高校生は受験勉強をすることで、目標を達成するための能力を身につけることができる」など、高校生にとっての受験勉強のメリットを述べるとよいでしょう。
ここで重要になるのは「高校生」の説明になっていることです。根拠を述べるときには、高校生という主題と「受験勉強をするべきだ」という主張を結びつけるようなイメージで説明してください。
【解答例】
私は高校生は受験勉強をするべきだと考える。なぜなら、受験勉強によって目標達成の能力を身につけられるからである。
高校生は社会人になるための準備期間にいる。社会人は仕事で目標を達成しなければならない。その能力は受験勉強によって身につく。
たとえば、志望校が現状の実力では合格できないレベルだとする。その場合、合格するために自分を見つめ直し、実力を上げる努力をすることになる。すると、それまでできなかったことができるようになり、その結果、合格という目標が達成できる。もちろんスポーツで活躍することなどで目標達成の能力を身につける高校生もいるが、ごく一部である。多くの高校生の場合、目標達成の能力は受験勉強によって身につくのである。
以上より、私は高校生は受験勉強をするべきだと考える。
解説 柳生好之 早稲田大学第一文学部(日本文学専修)卒。スタディサプリ(リクルート)で「東大現代文」などの講師をつとめるほか、難関大受験専門塾「現論会」、石川県の塾「東大セミナー」を経営。『現代文ポラリス』(KADOKAWA)など著書多数
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