大阪府警富田林署から逃走し逮捕された無職樋田淳也容疑者(30)が、8月下旬、県内に立ち寄っていたとみられることが4日分かった。四国霊場八十八カ所の弥谷寺(三豊市)や総本山善通寺などで目撃されており、売店で販売員と話したり、遍路客の求めで写真撮影に応じたりしていた。身を潜めることなく、旅行者を装って逃走を続けていたとみられる。
8月26日午後4時ごろ、高知県から遍路で訪れていた女性(55)は、三豊市三野町の四国霊場71番札所・弥谷寺で、樋田容疑者と同行者とみられる男性に会った。女性によると、同寺の駐車場近くの休憩所で、知人の男性(66)からジュースの接待を受け、4人で10分ほど話したという。
2人は「今日たまたま知り合った。同じ和歌山県出身」とし、同行の男性が「日本一周をしている。愛媛に向かう」と話した。女性が写真撮影や会員制交流サイト(SNS)への投稿の許可を求めたところ、「いいですよ」と応じた。
女性は、樋田容疑者らしき男について「口数は少なかったが、笑顔を見せたりして好青年に見えた」と説明。別れ際に「頑張りよ」と声を掛けたといい、「まさか逃走中の犯人を応援してしまうなんて」と悔しさをにじませた。
翌27日には、善通寺市善通寺町の同75番札所・総本山善通寺で、売店の女性が2人組を目撃。この女性によると、店内に入ってきたのは小柄なほうの1人で、所持品に「日本一周」という文字が見えたことから「日本を一周しているんですか」と話しかけると、「そうです」と答えた。女性は「今思えば樋田容疑者に似ていたと思う」と話している。
このほか、宇多津町浜一番丁の道の駅「恋人の聖地 うたづ臨海公園」でも、男性職員が1カ月ほど前、色黒でサイクリングをしているような服装の男性に声を掛けられたといい、「愛媛で日本一周について知り、香川に来た」と話していたという。
ただ、これらの目撃情報の日時は、これまで明らかになった同行者の供述と食い違う面があり、府警が逃走経路の裏付けを進めている。