クイズでわかる地球防災ラボ
正解はCです。
災害で大きな被害が出ると、Aのように、ある会社と近所の会社が同時に被害を受けることも多いでしょう。しかし、近所の会社は、ある会社の仕事が止まったから止まるわけではありません。
Cのように、災害で仕事が止まった会社から材料を買っている会社は、同じ材料を別の会社からすぐに買えればよいのですが、全く同じものを生産している会社は少ないですし、急に作ってもらうのも難しいので、仕事が止まってしまいます。
ある会社の仕事が止まると、ドミノたおしのように、その会社と取引をしている別の会社の仕事も次々に止まってしまうのです。さらに、被害を受けた会社はたくさんの会社と取引していることも多く、影響は一気に広がります。
2011年の東日本大震災では、茨城県にある自動車のさまざまな機器に指示を出すマイクロコンピューター(小さなコンピューター)の工場が大きな被害を受け、生産が数か月止まってしまいました。
日本の自動車メーカーの多くの車が、この工場から買ったマイクロコンピューターを使っていて、代わりを作る工場もありませんでした。国内だけでなく、アジア、アメリカ、ヨーロッパの自動車工場の生産も止まってしまいました。
もし、これから大きな災害が起きたら、同じように一つの会社が受けた被害が、日本や世界の経済に大きな影響をおよぼすことが心配されます。政府は全国の会社に対して、被害を受けても大事な仕事を続けられる方法を決めた「事業継続計画(BCP)」を作ることを求めています。
それにより被害の広がりを防ごうとしており、会社も努力を続けていますが、まだ十分とは言えません。
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東北大学災害科学国際研究所教授 丸谷浩明
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