本屋さんにはたくさんの本があふれ、お子さんに手渡す1冊に迷ってしまうことがありますよね。子どもの本の専門店・ちいさいおうち書店(長野県松本市)の店長・越高一夫さんが、最近出た本の中から、おすすめの3冊を紹介します。今日は、高学年からの1冊です。
『ジグソーステーション』
作 中澤晶子、絵 ささめやゆき、汐文社、1620円
駅で出会ったネコを追って
今からおよそ30年前、いろんな人が行き交う大きな駅を舞台に、不思議な体験をした女の子の物語です。
主人公の真名子は小学4年生。父親の仕事の都合でイラクのバグダッドでくらしていて、勉強が1年おくれています。
両親が離婚し、母親といっしょに日本に帰ってきた真名子ですが、占師をしている母親はいそがしく、いつもひとりぼっちでした。そこで、なじめない学校へは行かずに、ランドセルを背負ったまま駅を探検していました。そのうち、駅を住まいにする「支店長」と呼ばれるおじさんや、駅にくわしい糸二郎さんと知り合います。
ある日、駅で見かける白ネコを追って、とびらのむこうに入っていくと、そこは46年前の日本でした。白ネコの案内で、真名子はタイムスリップしたのです。過去の世界で出会った少年はだれなのか。「支店長」が駅にいることと関係があるのか。真名子は真相にせまります。
駅で立ち止まっていた真名子と「支店長」。2人の新たな旅立ちに希望を感じます。
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