文部科学省が小中学校へのスマートフォンや携帯電話の持ち込みを原則禁止した通知を見直す方針を示したことに対し、県内8市9町全ての教育委員会が「懸念がある」と不安視していることが、四国新聞のアンケート調査で分かった。各教委は会員制交流サイト(SNS)のトラブルやネットいじめの深刻化を危惧。ネットやゲーム依存の問題、学校での管理方法なども検討課題に挙げ、慎重な議論を求めている。
これまでの文科省通知では、小中学校へのスマホの持ち込みは原則禁止。同省は今回の見直し方針について、スマホの所持率が高まったことや、災害時の安否確認に有効な点を踏まえたとしている。
文科省の方針に対し、県教委は若者を中心に広がる「ゲーム依存」などを踏まえ、スマホの持ち込みに慎重姿勢だ。28日の2月定例議会文教厚生委員会では、工代祐司教育長が「持ち込みは教育上非常に大きな問題。県内では慎重に考えたい」と答弁し、新年度予算案にゲーム依存対策の関連費用を盛り込み、対策を進める考えを強調した。
アンケートによると、小中学校へのスマホの持ち込みは全17市町が「原則禁止」で、特段の事情があれば個別に対応している。
その上で、今回の文科省の方針について全市町が「懸念がある」と回答。▽ネット・ゲーム依存がさらに深刻化しかねない▽破損や盗難、子ども同士のトラブルなどが起きるリスクが高い▽経済的理由などで所持できない子どもへの配慮も必要―などの理由が挙がった。
ある町教委は「既に子どもたちは学校外の至る所で日常的にスマホに触れている」と指摘し、「『せめて学校にいる時間だけでもスマホと切り離したい』との願いが学校現場から出ている」と回答した。
文科省が通知を見直した場合の対応については、坂出、善通寺、小豆島、直島の4市町が「見直した通知に従う」と回答。他の13市町は「その他」と答え、通知内容を吟味した上で判断するなどとした。
アンケートは2月26~28日に実施。8市9町全てが回答した。