A.可能です。今は、「近所に塾がない」という理由以外にも、「お稽古事と中学受験を両立させたいが空き曜日と塾の曜日が合わない」「集団授業のペースについていけない」などの理由で、集団塾に通わず中学受験をする、というご家庭も増えてきています。
塾に通わないメリットとしては、
・時間の融通が効く
・個人に対応した指導内容
が挙げられますが、個人で勉強を進めていくのは孤独であり、気も緩みがちになります。大手塾は綿密なカリキュラム、毎週実施されるテスト、切磋琢磨できる仲間などによって、それらを解消しますが、家庭で進めるにはペースメーカーがないため、何よりも親子で強い意志が必要となります。
塾以外で中学受験の勉強を進めるには、以下の方法があります。
① 個別指導
1対2~3人と、1対1がありますが、中学受験ならば必ず1対1を選びましょう。1対2~3人の方が割安にはなりますが、学習効果は1対1の半分以下です。
また、先生がよほどのプロでない限りは
・1科目につき1人の先生に固定
・ざっくりで良いので、カリキュラムを出してもらう
をお願いしましょう。
大手塾準拠は基本的に、あくまで大手塾に通っている子の授業フォローという位置づけとなります。
② 家庭教師
家に来てもらうため、子どもの時間ロスが少なく、個人に応じた指導をしてもらえます。他に比べると高額になりますが、金額と指導スキル・人間性は必ずしも比例しません。中学受験に関しては、合格実績よりお子さんとの相性の方が重要です。先生の力量差が大きくなるため、必ず体験授業をしてもらいましょう。
また、「プロ」とうたっている場合は「プロの理由」と「最新の中学受験事情の把握度」も大切です。社会人であれば無条件にプロという派遣会社も多数存在しますし、20年前の知識と指導スキルでは、今の中学受験に太刀打ちできない局面も出てきます。
③ 親塾(親が指導)
時間の融通が最もきき、金額も最少で抑えられます。今は市販の問題集や通信教材に加え、動画も活用できるようになりました。
ただし、親が教える場合は入念な準備が必要であり、一定レベル以上の学校に関しては、志望校対策のノウハウが必要になります。また、親子で感情がぶつかり合い、他者がいない事から家庭内で思考が煮詰まりがちです。セミナーに参加するなど、外部の空気も入れましょう。
いずれを選択する場合でも、大手塾主催の模試は必ず定期的に受けましょう。①~③の方法を選択すると、どうしても学習ペースに緩みが出てくるため、模試でどこまで到達できているかを常にチェックする必要があります。
また、会場で大人数と共に受ける「模試」という場に慣れねば、入試本番も実力が発揮できません。
塾に通わず合格しているご家庭もたくさんあります。我が家に合う方法を選んでくださいね。
安浪京子(やすなみ・きょうこ)中学受験算数専門プロ家庭教師「(株)アートオブエデュケーション」代表として、受験算数の指導および中学受験メンタルサポートに力を入れ、毎年多数の合格者を出している。中学受験に関する講演やセミナーを多数開催。毎月第2,4木曜10~12時に、中学受験の悩みをざっくばらんに話し合う「中受カフェ」を開催中。 著書に『きょうこ先生のはじめまして受験算数』シリーズ、『中学受験 6年生の親がすべきこと』(いずれも朝日学生新聞社)など。
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