国の文化審議会(佐藤信会長)は21日、まんのう町の満濃池を名勝に、三豊市の紫雲出山遺跡を史跡に指定するよう柴山昌彦文部科学相に答申した。ため池が国の名勝に指定されるのは全国初。紫雲出山遺跡は、弥生時代中期の高地性集落で、県内では初めて同時代の遺跡が国指定史跡となる。
今回の答申が認められれば、県内の名勝は特別名勝を含め6件、史跡は特別史跡を含め23件となる。名勝の指定は2013年以来。
満濃池は、金倉川の上流域に位置し、古くからの巨大な堤防の構築で形成された日本最大級のため池。大宝年間(701~704年)に築造されたと伝えられ、度重なる破堤と修築を繰り返してきた。弘法大師空海による修築も行われたとされる。
堤防の南東側には水面が広がり、讃岐山脈が眺望できる優れた風致景観も魅力で、名所として広く親しまれている点などが評価された。
紫雲出山遺跡は、荘内半島先端部の紫雲出山山頂部の全域に広がる。備讃瀬戸の西側の入り口部分にあり、県西部のほか、愛媛県や岡山県南部、広島県東部の搬入土器が出土するなど瀬戸内海の広域交流で重要な役割を担っていたとされる。
眺望の良さなどから、弥生時代中期の高地性集落の軍事的・防御的な性格もうかがうことができ、その後の研究の方向性を定めたとして、考古学史上、高い評価を受けている。