「受験の天王山(勝敗の分かれ目)」ともいわれる夏休み。問題の量をこなし、「判断する力」をつけることが大切だと、進学塾「駿台・浜学園」の教科指導部次長、松本茂さんは話します。時間がある時だからこそできる勉強法や苦手対策など、夏休みの過ごし方について聞きました。(小勝千尋)
解法の見極め、時間配分も意識
8月は、勉強の進み具合にもよりますが、いままで学んできたことのふり返りを始める時期。「これまでは単元ごとに学んでいたので、問題を解くのに使う方法が何なのか分かっていましたが、これからはすべての範囲から出される問題に対して、どの方法を使うのか判断する必要がある」と松本さんは話します。
問題を解いていく中で、できなそうな問題や、時間のかかりそうな問題を見分ける力も身につけなくてはなりません。秋からの模擬試験(模試)などで、解けそうなのに時間が足りなくて間に合わなかったという状況をさけるためです。
そのため、夏休みの間はたくさんの問題を解くことが必要だといいます。「大量の問題を決められた期間に解くことで、解ける問題と後回しにする問題を判断できるようになります」学校のない夏休みは、自分で勉強する習慣を身につけられる絶好の機会です。
松本さんは自分で予定を立てて勉強することをすすめます。とくに苦手な単元を2、3個選び、いままで使ってきた問題集や参考書を用意して、1週間分予定を立てて、取り組みます。「苦手なところはおのおのちがいます。
自分で勉強する力を身につけて、苦手な単元に対して問題意識を常に持つことが大切です。予定を立てるときは保護者や塾の先生に相談するのもよいでしょう」過去の入試問題(過去問)を始めるのは秋から。
いまの時期から解いてもいいですが、まだできなくて当たり前だといいます。「そもそも過去問は、形式に慣れ、できないことを見つけるためのものです。失敗し、学ぶことが大切。できないからといって、あせらないでくださいね」
ダラダラやらず集中 息ぬきも
ときには、やる気がでないこともあるでしょう。「気分転換も大切」と松本さん。集中しないままダラダラ勉強しても効果は望めません。勉強からはなれて、好きなことをして息ぬきしましょう。志望校を見に行ってイメージをふくらませたり、学校のグッズをかざったりすると、やる気アップにもつながります。
勉強に一生懸命になると一日中冷房の利いた部屋で過ごして、太陽の光を浴びないこともあります。免疫力が低下したり、風邪をひきやすくなったりするおそれもあります。「冷房の強いところで着られるように上着を持ち歩いたり、休みの日は外に出たりしましょう。夜ふかしや朝寝坊はやめましょう」
4、5年生は、ペースをくずさずに、今習っている単元を確実に身につけていきましょう。「いろいろな経験をするのも大切。気になる中学校に、保護者と電車やバスで行ってみるのもいいですね」
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