善通寺市の総本山善通寺(菅智潤法主)で11日、解剖学者の養老孟司さんや作家の下重暁子さんを迎えて、心と命のフォーラム「生きる作法・死ぬ作法」が開かれた。約500人の参加者は、養老さんらのユーモアあふれる話に熱心に耳を傾け、死生観や年齢にとらわれない生き方について考えた。
フォーラムは、高松市香川町の称讃寺(瑞田信弘住職)が企画。養老さん、下重さんに菅法主、瑞田住職を交えた4人が、下重さんの本のタイトルにちなんで「年齢は捨てなさい」をテーマに語り合った。
養老さんは解剖学者という仕事を好きになった経緯を説明し、「無理しない程度に仕事の中に好きな部分を見つけ、どうしても好きになれなければ、辞めたらいい」と持論を展開。あまり好きではないことをしている時に限って「もう年だから」と口にしがちで、自分がやりたいことや好きなことに時間とエネルギーを使っている人は、いつまでも若々しさを保っていると指摘した。
今年83歳を迎えたという下重さんも、アナウンサー時代に仕事も趣味も熱心に取り組んできたと振り返った上で、「75歳を過ぎると誰もが後期高齢者という枠に入る」と現状の制度に問題提起。年齢を気にせず好きなことに没頭するという養老さんの話に触れ、「日本人はあまりにも年齢にこだわり過ぎる傾向がある」と強調し、周りには80歳を過ぎても仕事をしている人がたくさんいることを紹介した。
菅法主や瑞田住職は僧侶ならではの視点から、どう死ぬかとどう生きるかは表裏一体とされており、目標や使命感を持って生活を送ることで、最期を迎える瞬間まで元気に生きられるとした。