南海トラフ巨大地震の発生が懸念される中、県は、大規模災害時の広域医療搬送拠点として高松空港に置かれる臨時医療施設(SCU)の運用マニュアルを策定した。けが人を一時的に収容するSCUの設置基準や手順などを明確化し、被災していない他県への迅速な搬送につなげる。県によると、同マニュアルの策定は四国で初めて。
SCUの設置場所は都道府県ごとに異なり、香川は高松空港の消防庁舎内に開設する。同空港は四国で唯一内陸にあるため津波の心配がなく、南海トラフ巨大地震発生時には、高知や愛媛、徳島からの負傷者を受け入れる役割が期待されている。
高松空港では昨年8月、SCUを設置し、患者を県外に搬送する大規模訓練を実施。ただ、設置の判断基準などが明確化されていなかったことから、訓練参加者の意見などを踏まえてマニュアルを策定した。
マニュアルでは、SCUの設置基準について▽県内の災害拠点病院で受け入れ可能な患者数を超える傷病者が発生▽他県で災害が発生し、国などから設置要請があった―などと明記。担当医療機関や消防などの設置・運営組織も記載した。
運用開始までの手順としては、高松空港の被災状況や担当医療機関の状況を確認した上で、知事がSCUの設置を判断。災害派遣医療チーム(DMAT)の要請などを行い、発災からおおむね12時間をめどに運用を開始するとしている。
SCUの活動が円滑に行えるよう、空港の立ち入り制限区域の一部を関係者向けに緩和。DMATの入退場手続きについても簡素化した。
県医務国保課は「今後はマニュアルを基に訓練を重ね、さらに実行性を高めていきたい」としている。