時事通信社と四国新聞社が県民1千人を対象に行った「合同世論調査2019香川」で、昨秋に再稼働した四国電力の伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について、再稼働に「賛成」は39・3%で、「反対」の38・2%をわずかながら上回った。安全対策については、41・6%が「不十分」としており、原発に対する不安は依然根強い。(写真は資料)
伊方原発3号機は、2017年10月から定期検査に入った後、同12月の広島高裁の運転差し止め仮処分決定で停止が続いた。18年9月に同高裁が異議審決定で再稼働を認め、同10月に運転を再開した。
調査結果を前回調査(2017年11月)と比べると、「賛成」は3・3ポイント減、「反対」は2・2ポイント減で、「賛成」の減り幅が大きかった。
賛否を年代別にみると、30~50代では「賛成」が「反対」を上回ったが、20、60代では「反対」が多数。60代では42・1%が「反対」で、「賛成」の33・9%との差は8・2ポイントだった。「反対」を男女別でみると、女性で40・8%、男性が35・6%で、女性の方が反対の割合が高かった。
市町別にみると、琴平町では72・7%が「反対」。このほか、多度津町(54・2%)と東かがわ市(50・0%)で「反対」が半数に達した。
安全対策については、「不十分」41・6%、「十分」29・2%、「よく分からない・無回答」29・2%。再稼働に賛成しながらも、安全対策には不安を抱く県民もいるようだ。
年代別では、30代以外の全ての世代で「不十分」が4割を超え、不安感は幅広い年代に広がっている。男女別では、「不十分」は男性で42・1%、女性で41・0%。市町別では、土庄町(75・0%)や多度津町(62・5%)などで「不十分」が多くなった。
稼働中の原発を巡っては、原子力規制委員会が、テロ対策施設が設置期限までに完成しない場合は運転を認めない方針を表明。伊方3号機の設置期限は21年3月だが、四電は完成が期限から1年程度遅れる見通しを示している。このままでは伊方3号機は再来年の春に再び停止する可能性が高い。
料金「値下げすべき」63%
四国電力の伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働にからみ、63・4%が再稼働を受けて電気料金を「値下げすべき」とし、「そのままで良い」の24・8%を大きく上回った。
年代別にみると、全ての世代で「値下げすべき」が「そのままで良い」を上回り、「値下げすべき」は、40代を除く全世代で6割を超えた。60代では「値下げすべき」が66・5%で、「そのままで良い」の21・3%の3倍に達した。
男女別では、「値下げすべき」は男性63・6%、女性63・2%と大きな開きはなかった。市町別では、「値下げすべき」は坂出市と土庄町の75・0%が最高。このほか、さぬき市(74・0%)と東かがわ市(70・0%)が7割を超えた。
四電は2013年夏、伊方原発3号機の停止による燃料費の増大などを理由に、電気料金を一般家庭で平均7・80%、企業向けは同14・72%値上げ。一般家庭では年間約5200円の負担増となった。
四電の収支は15年3月期で黒字に転換。その後、電力小売りの自由化などで競争が激しくなる中でも、19年3月期まで5期連続で黒字を続けている。
【調査の方法】 5月28日から6月17日までの21日間、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施。県内の20~69歳の1千人(男女各500人)が答えた。
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