四国霊場の札所周辺にある休憩所や遍路道沿いの老舗店など、地域に根ざしたグルメは旅の楽しみ。お遍路さんたちおすすめのお店をのぞいてみませんか。
手仕事で仕上げる変わらぬ味と歯ごたえ
「はい、いらっしゃい。なんぼにしましょう?」と明るい声で迎えてくれた店主の熊岡民子さん(85)。ご存じ、堅パンの熊岡菓子店は、75番善通寺の西院仁王門そばに店を構えて今年で123年。軍用食として開発された昔から変わらぬ製法で、小麦粉と砂糖の生地を驚くほど硬く焼き上げます。石パン、丸パン、ボーロなど懐かしいお菓子は、お遍路さんの携帯食として、参拝者の手土産として今も愛されています。
●熊岡菓子店
0877(62)2644
善通寺市善通寺町3-4-11
午前7時半~午後5時
(土曜、日曜、祝日は午前8時~)
火曜、第3水曜定休
(祝日の場合は営業)
駐車場5台
自然体のおもてなし心温まる会話と手料理
1964年にオープンした喫茶店「みち草」。81番白峯寺から82番根香寺に向かう遍路道沿いにあるため、多くのお遍路さんが立ち寄る定番の店となっています。「特別何かをするのではなく、相手の気持ちになって自然体で接してきただけ」と話す店主の渡辺やす子さん(76)ですが、その人柄に引かれてお遍路のたびに立ち寄る"常連客"も。人気は「月見うどん」(450円)や「焼き飯カレー」(600円)。ちょっと一息しませんか。
●みち草
087(882)3461
高松市中山町1493-1
午前8時~午後5時
不定休
駐車場10台
国分寺門前の地域で支える〝接待駅〟
80番国分寺の門前にある「おへんろの駅こくぶ」は2004年、障害者就労支援を目的に、障害者と地域の人々が協働で開設したお遍路さんの接待所(休憩所)。人気は「おむすび定食」(350円)や「日替わり定食」(500円)で、一般の人も購入可。「お遍路さんが私たちが作る料理を食べて、元気を出して次の札所に向かうのがなによりうれしい」とメンバー。元気に新たな一歩が踏み出せそうです。
●おへんろの駅こくぶ
087(874)0207
高松市国分寺町国分959
月、火曜、祝日定休
午前10時半~午後3時
駐車場なし
弘法大師ゆかりの地で感謝の気持ちを忘れずに
これまで4回、四国遍路の旅に出たという店主。遍路文化の奥深さに触れ、無事に結願できた感謝の気持ちを表したいと一昨年秋、73番出釈迦寺の門前横にこのうどん店をオープンしました。お遍路さんだけでなく地元の人にも人気なのは、名物「きつねうどん」(350円)。足踏み、手打ちのもちもち感とエッジの効いた麺が特徴。歩きや自転車で巡るお遍路さんには、コロッケや梅干しなどのお接待も。
●すずめ庵
0877(43)7338
善通寺市吉原町1091
午前9時~午後5時
木曜定休(悪天候時は休み)
出釈迦寺の駐車場を共有
休憩所を備えた古民家で味わう一杯
86番志度寺から87番長尾寺をつなぐ旧遍路道沿いにあり、気軽に立ち寄れるうどん店としてお遍路さんに人気のこちら。
屋根付きの喫煙所兼休憩所があり、長旅の疲れを癒やすお遍路さんの姿も。おすすめは、山芋、南紅梅などをトッピングし、自家製しょうゆをかけていただく「溜うどん」。手打ち歴20年以上の職人が作り出す田舎風の太麺は、のどごしがよく、山芋とも好相性。ファンが多いのも納得です。
●さぬきうどん溜(たまり)
0879(52)0213
さぬき市造田宮西849-1
午前10時~午後3時半
年中無休
駐車場80台
毎週金曜日発行
四国新聞 itsumo vol.21より
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