あなたに手紙を書きます。親がうるさいと感じているあなたに手紙を書きます。
あなたはお母さんの声をおなかの中にいる時から聞いています。お父さんも、あなたが赤ちゃんのころからたくさんの言葉がけをしてくれました。
その声のおかげで、あなたは安心して眠ることができ、ご飯を食べられるようになり、青信号で道を渡ることを覚え、良いことと悪いことの区別がつくようになりました。
ところが、最近その声が「うるさい」と感じるようになった。なぜでしょう。それはあなたが成長したからです。親の声以外の声も聞けるほどに成長したからです。
もし、あなたが親の声を「うるさい」と感じずに大きくなったらどうなるでしょう。あなたは、きっと親の言うことしか聞けない人間になってしまうでしょう。親以上の存在になれないことを意味します。
さて、この話をふまえた上で、しっかりと親の声を聞いてください。それは、ここまでのあなたを育ててくれた声です。その声がただ感情的だったり、意味がわからなかったりしたら、逃げたり、だまったりせず、「おかしい」と伝えてみましょう。
その言葉は、口ごたえでも、反抗でもなく、あなたの成長の証しです。しっかり示しましょう。親もきっとわかってくれます。冷静に、一人の人間としてあなたを見てくれるようになるでしょう。親から、逃げないで!
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ひきた・よしあき 博報堂のスピーチライター、博報財団コミュニケーション コンサルタント
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