オプチャで観光客をおもてなし!1年半で2,600人集めた管理者が語る運用術(前編)

地域をテーマにしたオープンチャットでは、近所のお店や施設、天気、災害、観光情報など日々さまざまな情報交換が行われています。地域のオープンチャットはどう運用され、どのような存在になっているのか。地域内外から3,000人以上(2024.1月時点)が参加している、観光客向けのオープンチャット『THEDAY.HAKUBA🦄 白馬バレーの「今」が分かる!情報メディア』※の管理者・佐藤さんのスペシャルインタビューを前編・後編でお届けします。

※こちらのオープンチャットは2024年3月末で運営を終了しました。

 

――まず、テーマとして扱われている長野県・白馬村の魅力を教えてください。

白馬村は冬のイメージが強いと思いますが、実は春から秋にかけてもアクティビティが多く、涼しくて過ごしやすいです。もちろんきれいな山々も大きな魅力ですが、移住者が多いこともあり、個性豊かで面白い方がたくさんいるのも魅力のひとつかなと思います。

――日々オープンチャットの管理をしていただいていますが、佐藤さんの本業を教えてください。

白馬村の山を滑るためだけのスノーボード作りをしています。『白馬村の、この山の沢を滑るため』とか『このゲレンデの、この斜面専用』みたいな、基本的に僕が乗りたいスノーボードを作っています。オープンチャットも最初は、このボードを持って白馬村に来てくれる方たち向けのものだったんですよ。

 
開設から10日で観光客向けのオープンチャットに方向転換

――本業のために開設したオープンチャットを、なぜ観光客向けに変えたんですか?

うちのボードのユーザーじゃない人の質問が多くなってきて、あれ?と思って。ああ、これは、なんかすごい面白くなりそうって思ったんです。観光業に需要があるなと。オープンチャットは1年半前に開設したんですが、始めてから10日ぐらいで観光客向けに変更しました。

――すごいスピード感ですね。オープンチャットはどこで知ったんでしょうか?

オープンチャットを運用していた友だちに教えてもらって、開設の2週間ぐらい前に初めて知りました。実際にのぞいてみて、スノーボーダーが白馬村に行こうか迷ってるときに、『今、雪降ってますか』って地域の人に聞けたら面白いなと思ったんですよね。『今、降ってるよ』とか『おすすめの飲食店はここだよ』とか、そんなやり取りができるんじゃないかなって。

――知ってから2週間で開設されたんですね!開設するにあたり不安などはなかったですか?

こういうのって考えれば考えるほど課題ばっかりになってきちゃうんですよね。どんな人が入ってくるんだろうとか、そういうのはずっと考えていました。でも、 “やりながら考えることが大切”っていう考え方もあるし、やってみて変化していけばいいんだ!っていう感じで始めました。

開設してからは、オンラインでコミュニティをつくっているような人とか、いろんな人に相談しましたね。あとは、(オープンチャットのメインページにあるランキングの)各カテゴリー上位5位ぐらいのオープンチャットに全部入ってみたりして、違うジャンルのオープンチャットの雰囲気をたくさん見て参考にしました。

 
オープンチャットで特定のファンに鬼のように刺さるコミュニティづくり

――オープンチャットを使っていて感じる魅力があれば教えてください。

コミュニティをつくれるところですね。白馬は観光業の村ですが、地域の方と観光客の方のコミュニティって今までなかったと思うので、そこがすごく魅力です。あとは、特定のファンの方に、もう鬼のように刺さるのが特長かなと思います。

――密なコミュニティだからこそ、誰かに刺さってより深まっていくみたいなのはあるかもしれませんね。

ブランドも、そういいますよね。ブランドが継続できるかは、最初に少数のすごいマニアックな人たちの心に刺さるかどうかみたいな。オープンチャットもそんな感じですよね。

――白馬村のオープンチャットでは佐藤さん以外の投稿も活発な印象ですが、どういった方が参加されていますか?

肌感覚だと7割が観光客の方で、3割が地域の方ですね。意外と地域の方が入っていただいてることに結構びっくりしていて。観光業のお宿さんとかが多いので、宿泊しているお客さんにオープンチャットの投稿を見せて、『今、こういうのが旬らしいよ』とか、会話のきっかけにするってよく聞きますね。誰かから質問があったとき、地域の方からの回答も多いんですけど、あれって、やっぱり白馬村が好きで、好きだからこそ伝えたいみたいなのがあるんだと思います。

――自分ごと化して参加してくださるのは素敵ですね…!地域の方はどうやってオープンチャットを知ったのでしょうか?

自分では入ってくださいと言ってないので、たぶん口コミで広がったんじゃないかなと。すごい小さい村なんで、いい形で広まったのかなって思います。村を歩くと、1日20人ぐらいから声を掛けてもらうことがあります。『見てるよ』って。もう本当、変なことできないなって思います(笑)

睡眠時間を削って、2か月間オープンチャットにフルコミット

――開設して2か月で800人が参加したとのことですが、どうやって集めたんでしょうか?

観光客の方の要望に全て応え続けました。例えば、『白馬村の飲食店をまとめてほしい』とか。ノートにまとめたものは、オープンチャット内で『追加ありますか?』って質問して、みんなで共に作るみたいな形にしましたね。それを1カ月ぐらいやり続けていたら、一気に口コミで広がって。睡眠時間を削って、2カ月オープンチャットにフルコミットしてました(笑)

(ノートにおすすめスポットやアクティビティが分かりやすくまとまっている)

――日に日に参加者が多くなっていると思いますが、オープンチャットの運用で心掛けていることはありますか?

まず、質問は基本3分以内に返答するというのをかなり心掛けています。観光客の方、地域の方問わず、早い返信が評価されていると思います。

――それはすごいですね…!(笑)ほかに何か心掛けていることはありますか?

・朝のニュースとか、地元のニュースとか、有益なコンテンツをリズム良く投稿しています。地元の人が発信する天気の動画とかも、実はすごい価値なんですよね。

 

・コンセプトから外れている投稿にはきちんとはっきり、『ここは観光客向けのオープンチャット』だと伝えています。

 

・何か質問が来た時に、自分で答えられることも、地域の方にメンションをつけて答えてもらうようにしています。例えば役場やお店の人にメンションしたり、そうすると、地域が一体化して1つの答えを出しているように見えてすごくいいなって思います。

(白馬村の動画と一緒に天気やイベント情報を投稿)

――ちなみに3分以内の返答のモチベーションは何なのでしょうか?

よく、本業とつながってないじゃんって言われるんですよね。でも、もともと本業でも白馬村に来てもらうきっかけをスノーボードのギアでつくって、白馬村を“回遊”してもらうことまでを、地域密着型ブランドとしてやりたいと思っていたんですね。なので白馬村を“回遊”してもらうために、オープンチャットも一生懸命やっているって感じですね。 

――オープンチャットを起点にした飲食店コラボなど、観光客の“回遊”を本当に実現していますよね。

飲食店コラボは、オープンチャット経由で、お店にめちゃくちゃお客さんがくるみたいで、勝手に始まりました(笑)

(お店で『オープンチャット見ました』と言うと割引などの特典がもらえる)

あとは、オープンチャットを始めたことで、直接会いに来てくれる観光客の方が増えましたね。自分だけじゃなくて、地域全体で結構発生していて。例えば、駅前のコーヒー屋さんの投稿を見て、『こういう投稿をするコーヒー屋さんに会ってみたい』ってなって、会いに行くとか。
そういうのを見ていて、地域の方が観光スポットになるんだと思ったんですよね。そこから、村ガチャ(白馬村での「出会い」や「体験」が楽しめるカプセルトイを使った佐藤さんの取り組み)が生まれました。オープンチャットのおかげですね(笑)

(取材スタッフが引き当てた佐藤さんのカプセル。白馬村に行った際はぜひ村ガチャをやってみてくださいね)

■インタビュー前編まとめ

・佐藤さんが感じるオープンチャット×観光業の魅力は『特定のファンに鬼のように刺さること』

 

・佐藤さん流!参加者を集めるオープンチャット運用のコツは4つ!

①3分以内の返信、②リズムよく有益なコンテンツを投稿する、③コンセプトに合った投稿の管理、④地域の人の巻き込み

 

・オープンチャットを起点にした観光客の“回遊”を実現!飲食店コラボや村ガチャを展開

※内容は2023年9月のインタビュー当時のものです。

▼後編へ続く