ブルー・アイランド博士の音楽はお好き?
週に3日、二つの大学に勤めているのですが、学生さんの声がどんどん聞こえなくなりつつあります。私が年を取って耳が聞こえづらくなったのかとも思いましたが、そうではなく、若い人たちに大きな声を出す習慣がなくなっているのでしょう。
小学校で行っている鑑賞教室では全員で歌うコーナーを設けていますが、それも4年生までは大声で歌うのに、5年生以上はつぶやいているか、まったく口をつぐんでしまうかなのです。こうした傾向が、そのまま大学生になるまで続いてしまっているのですね。
歌うことと話すことは、ちがうようでいて、実はひと続きです。歌は、話し言葉を最も大げさに表現したものなのです。
ですから、もしも高学年になって「大声で歌うのが恥ずかしいな」と思ったら、せめて人の前で返事をしたり発言したりする時だけは、その場に合った声の大きさで話してほしいと思います。
たとえば、10人で話し合いをする時と、40人の前で発表する時とでは、声の強さはおのずとちがうものです。そこにいる人全員に伝わるような大きさで、息の速度を考えてみてください。
また、先生の質問に答える時などは、教壇から遠くはなれて座っている人は、かなり大きな声を出す必要があるでしょう。講堂などでマイクを使う場合は、普通にしゃべればいいのですが、低学年の人たちは、スピーカーの方を見てしまうものです。
せっかくみんなの前に出ているのですから、大きな身ぶりを交えて話している表情を見てもらえば、もっと内容が伝わるはずです。
また、質問に答えようとして手をあげた人にマイクを向けると、突然だまってしまう人がかなりいます。何を話すかを頭の中で組み立ててから手をあげるようにしましょう。
大人になって人前で話すときに困らないように、いつもみんなで歌ってみてください。大勢だとぜんぜん恥ずかしくありませんよ。
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青島広志(あおしま・ひろし) 1955年、東京生まれ。東京芸術大学、同大学院修士課程を首席で卒業、修了。「火の鳥」「11ぴきのネコ」などこれまでに200曲あまりを作曲。著書に『クラシックの時間ですよ!』など。東京芸術大学講師、洗足学園音楽大学客員教授。テレビ出演多数。
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