今日は『ストッパー毒島』を紹介します。破天荒な投手である毒島がプロ野球パ・リーグの架空の弱小チーム「京浜アスレチックス」に入団し、仲間とともにのし上がっていく。簡単にいえばそんな物語です。
僕がこの漫画から教えてもらったことは、努力の形は人それぞれということ。才能だけで突き進んできた毒島にはたくさんの壁が立ちはだかります。その度に毒島は自信を失い腐りかけるんですが、最終的には自分がやるべきことを「やる」んです。とにかく勝ちたいから。
では、僕が今も大事にしているこの漫画のシーンを教えます。プロ入り前は我流で突き進んでいた毒島ですが、入団して初めて師匠と呼べる存在に出会います。それが球団マスコットキャラクターの「チックくん」です。
たかがマスコットなはずが、中に入っている人間は相当な野球人。このチームのOBなのか、はたまた毒島の肉親なのか、連載が終わって20年経った今も明らかにされていません。
チックくんからは様々なトレーニングを言い渡されますが中でも一番アナログだったやり方が、ボールを一つ入れたレジ袋を手首に縛りつけ投球を繰り返すトレーニング。こうすれば投げた球がすぐ袋に包まれ何度も投げ込みができるという手法です。
あまりにも原始的なやり方に毒島はあきれるのですが、続けていくうちにそれが自分に合っていることを実感し、毒島は充実した表情を浮かべます。これが僕の大好きなシーンです。
他人から見れば馬鹿にされるものであっても、自分に合う努力の仕方は必ずあります。僕が高校生の頃は、深夜ラジオの大喜利番組のお題を覚えて、学校にいる間ずっとそれの回答を考えてたこともありました。
周りから見れば暗いやつだと思われていたでしょうが、それがすごく楽しかったし、芸人になる夢に向かって努力している充実感があった。周りが見えなくなるほど努力できるものは絶対大事にしてください。
川島 明(かわしま・あきら) 1979年生まれ、京都府出身。NSC大阪20期生。99年10月、同期の田村裕とお笑いコンビ「麒麟」を結成。バラエティー番組出演多数。NHK連続テレビ小説「なつぞら」に、アニメーター下山克己役で出演中。
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