本屋さんにはたくさんの本があふれ、お子さんに手渡す1冊に迷ってしまうことがありますよね。子どもの本を専門とする東京子ども図書館(中野区)の吉田真理さんが、最近出た本の中から、おすすめの3冊を紹介します。今日は、中学年からの1冊です。
『エベレスト 命・祈り・挑戦』
文 サングマ・フランシス、絵 リスク・フェン、訳 千葉茂樹、徳間書店、3080円
世界一の山を絵であじわう
エベレストは、中国のチベットとネパールにまたがる、地球で一番高い山です。
この本は、今からおよそ5000万年前に生まれたこの山の誕生にはじまり、高度によって変わる景色と気候、人々に伝わる伝説、登頂の歴史などを、画面いっぱいにえがかれた絵とともに教えてくれます。
ふもとの森には、水面から頭を出して空気をすう魚、ツノをもつカエルなど、めずらしい生き物がいますが、登るにつれてきびしい環境になります。空気中の酸素は少なく、風がふき荒れると、体感温度がマイナス70度になることもあります。なだれで、命を落とす人もいます。
1921年にチベットから入山許可がおりて、世界中の人々が登頂に挑戦しました。1953年、イギリスの登山隊がついに初登頂。当時の計画や、山頂に立った人の言葉を読むと、危険をのりこえ、地球一の高所に立った喜びが伝わってきます。
登山家を強くひきつけてきたエベレスト。今もたくさんの人が挑戦しつづけている山の魅力が味わえます。
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次回配信では、高学年からの1冊を紹介します。
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