「日本の棚田百選」に県内で唯一選ばれている小豆島町中山の「中山千枚田」で6日夜、稲に付く害虫を火で追い払って豊作を祈る「虫送り」が行われた。薄暗がりの中、参加者たちは火手(ほて)と呼ばれるたいまつを手に棚田のあぜ道をゆっくりと下り、炎の隊列が幻想的な光景を作り出した。
虫送りは江戸時代から伝わる風習。眼下に千枚田を見渡す小豆島霊場44番札所・湯舟山で関係者らが五穀豊穣(ほうじょう)を祈願した後、地元の家族連れや観光客ら約400人は火手を握り、2コースに分かれて出発。「とーもせ、ともせ」の掛け声とともに波形模様の水田に火をかざして坂を下り、農村歌舞伎の舞台がある春日神社まで歩いた。
小豆島の虫送りは、かつて中山から地区ごとにリレー形式で火をつなぎ、虫を海に追いやっていたとされる。中山では一時途絶えていたが、2010年に小豆島が舞台の映画「八日目の蟬(せみ)」の撮影で再現されたのを機に、地元自治会や町でつくる実行委員会が11年に復活させた。
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