来年の4月から、小学校で本格的に「英語」がとり入れられます。学校によってはすでに実施しているところもあります。
どのような心構えで取り組むといいのでしょうか。
NHKラジオ「基礎英語2」の講師を務める明海大学の高田智子教授(英語教育)に聞きました。(編集委員・沢辺雅俊)
楽しみながら「気づき」重視
――新学習指導要領では5、6年で英語が「教科」になり、小学校で600~700語を学ぶなど「高度」になる感じですね。
高度になるというよりも、これまで「文字はアルファベットに触れる程度」と慎重だった姿勢が、ゆるめられたという印象です。
国際的に見ても単語数もひかえめです。ある調査では中国、韓国、台湾の小学校の英語の教科書で共通して出てくる単語数は千近く。
700語といっても、聞いてわかる・読んでわかる(話せなくても書けなくてもいい)「受容語彙」と、話せる・書ける「発信語彙」をあわせた数です。
――小学生は、どう取り組んだらいいですか。
授業は、英語を使って先生や友だちと活動することが中心です。楽しみながら積極的に参加しましょう。
実際に使って知識を定着させていくのが重要です。
100パーセントわからなくても気にしない。聞きつづけていると、何となく意味がわかることが多いからです。
授業では同じ表現をくり返し聞いたり、話したりするうちに、あるパターンに気がついたり、日本語とのちがいを発見したりするでしょう。その「気づき」を大事にしてほしい。
たとえば「scientist(科学者)やpianist(ピアニスト)といった具合に『人』にかかわることはistで終わる語が多い」と気づきます。これらの気づきが中学で知識として整理されると、納得するはずです。
日常で触れる機会をたくさん
――ほかにアドバイスはありますか。
教室のなかだけで、あるレベル以上の力がつくとは考えないほうがいい。
英検2級以上の合格者では、テレビやラジオの番組など、教室外で勉強する人の割合が高いという調査もあります。
生涯にわたって主体的に学ぶ態度が望まれます。
日常でも英語に触れる機会はたくさんあります。駅にはさまざまな英語の表示があり、アナウンスも耳にします。
「~car No.4~」と聞いて「carって車両にも使うんだ」と気づくこともあるでしょう。生の英語に触れることで、どんな場面で使われるのか、わかるようになります。
――保護者は、どう向き合えばいいのでしょうか。
子どもが英語に触れる機会をたくさんつくってほしい。その意味でラジオなどの語学番組はおすすめです。
ストーリーのおもしろさに引きこまれ、家族で聞きつづけるという例が少なくありません。小学生は「基礎づくり」の時期。「○級取得」など、やみくもに実利を求めないことです。
【小学校での英語】
2020年度から全面的に導入される新学習指導要領では、英語に親しむ「外国語活動」が3、4年生からとり入れられる。
これまで「外国語活動」が行われてきた5、6年生は正式な教科の「外国語科」になる。
移行期間としてすでに始まっていたり、以前から熱心に取り組んでいたりする学校もある。
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