空からのたより
7月2日は年始から183日目、一年の真ん中にあたる日でした。この半年はみなさんにとってどんな日々でしたか。無事に過ごせたことに感謝しつつ、残り半年も元気に過ごしていきたいですね。
多くの人が新年のあいさつとして年賀状を送ったことがあると思いますが、一年の折り返しにあたるこの時期にも、大切な人にお便りを出す習慣があるのを知っていますか。「暑中見舞い」といいます。友だちやふだんなかなか会えない人にあてて送り、相手の健康を気づかったり、自分の近況を知らせたりします。
この暑中見舞いの文化は江戸時代までさかのぼるといわれています。当時はお盆に贈答品を持ってあいさつ回りをしていたそうです。それが、1873(明治6)年に郵便はがきが発行されたことで、あいさつ状を送る習慣ができ、大正時代(1912~26年)に現在の暑中見舞いの形が定着したそうです。
年賀状とちがう点は、送る期間が年賀状よりも長いことなどです。暑中見舞いは二十四節気の「小暑」(今年は7月7日)から「立秋」(今年は8月8日)の前日までに送るといいでしょう。立秋を過ぎると残暑見舞いに変わり、9月の初めごろまで出すことができるとされます。
ところで、みなさんならどのような暑中見舞いを出しますか。デザインを工夫し、受け取る相手が喜ぶようなはがきにしたいですよね。
ここで、風変わりなはがきを紹介したいと思います。漢字の「葉書」は「葉っぱに書く」と書きますが、この語源になった「葉」があります。それはモチノキ科の常緑樹「タラヨウ」の葉です。だ円形で大きく、少し厚みがあります。この葉の裏に先のとがったもので文字を書くと、えんぴつで書いたように黒いあとが残ります。もともと寺や神社によく植えられている木ですが、かつての郵政省が「郵便局の木」に指定したことで、郵便局にも植樹されるようになったそうです。
これから一年で最も暑い時期をむかえます。体調管理に気をつけつつ、ふだん会えない友だちや親類、お世話になった先生に思いやりの気持ちをこめた暑中見舞いを送ってみてはいかがでしょうか。
松元梓(まつもと・あずさ)日本気象協会気象予報士 聖心女子大学文学部卒業。テレビやラジオで気象キャスターを務めてきた。信越放送の「SBCニュースワイド」に出演中。
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