NHKの宮崎発地域ドラマ「ひなたの佐和ちゃん、波に乗る!」で、主人公の是澤佐和役を演じた。佐和は地元の高校3年生。両親の離婚の原因となったサーフィンが嫌いだったが、プロを目指す父や幼なじみの影響で、サーフィンを通じて将来を見つめるようになる。
歌手を夢見て、ロックバンド「ザ・ブルーハーツ」(1995年に解散)をイメージした軽音部のボーカルとして活動する佐和。
一方で、シングルマザーの母が働く店を手伝い、中学生の弟の面倒もみる。進路は「公務員として堅実な生活を送った方がいいのかもしれない」と考えるようになり、夢と現実の間で心が揺れる。
「中学生や高校生は進路を考える時期で、佐和の葛藤が理解してもらえると思います。作品を通じて、悩んでいる人が一歩踏み出すきっかけになるような、何か少しでも力になれたらうれしいですね」
舞台となった宮崎県日向市の方言を学び、初めてサーフィンに挑戦した。撮影地の小さな港町は、ふるさとの沖縄のようだったと振り返る。
「地域の人たちみんなが『ファミリー』のようで温かかった。海の水温が高いのも沖縄と似ていましたね」
中学生まで沖縄で過ごした。中学校はにぎやかで、休み時間はじっとしていられない。中3で鬼ごっこや「ケイドロ」がはやり、他のクラスの子とも一緒に走り回った。放課後は友達と自転車でビーチやショッピングセンターへ。
一方で、俳優として活動したいという気持ちが強く、中学生で進路を考えるとき、上京を決断した。
「不安より、わくわくする気持ちの方が大きかった」。昨年春から東京で暮らし、応援してくれる親とはSNSのビデオ通話で3時間話すこともあるそうだ。
「人に感動を与えられるような俳優になりたい。自分も楽しみながら、いろんな役を経験していきたいですね」
メッセージ
ドラマの撮影期間中はブルーハーツの「人にやさしく」と「リンダリンダ」をずっと聴いていました。軽音部で歌うシーンでは、ブルーハーツのメンバーの「はっちゃけた」動きも意識しています。
2002年7月10日生まれ、沖縄県出身。13年、テレビドラマ「斉藤さん2」で俳優デビュー。最近では18年公開の映画「ニセコイ」などに出演。ドラマ「ひなたの佐和ちゃん、波に乗る!」はNHKのBSプレミアムで11日午後10時放送。
(文・猪野元健、写真・倉田貴志)
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