まんのう町の満濃池で15日、讃岐路に本格的な田植えシーズンの到来を告げる「ゆる抜き」が行われた。雨の降る中、水門が開放され、ごう音とともに勢いよく水が流れ出ると、詰め掛けた約700人の見物客から大きな歓声が上がった。
満濃池のゆる抜きは、中讃2市3町の約3千ヘクタールの水田に向け放水を開始する伝統行事。環境省の「残したい日本の音風景100選」にも選出されている。
近くの神野神社で、浜田知事ら約100人が出席して豊作祈願の神事を行った後、正午に水門を開放。遊歩道や堤防でかっぱ姿の人や傘を差して待っていた見物客は、しぶきを上げて大量の水が流れる豪快な風景を楽しんだ。
約15年ぶりに妻と2人で見物に来た三豊市高瀬町の会社員臼杵英和さん(72)は「この光景を見ると感動する。県外で生活している孫に動画を送ってあげたい」と話していた。
満濃池土地改良区によると、満濃池の貯水量は満水時で1540万トン。今年は冬から春にかけて雨が少なかったため、15日時点の貯水率は77・1%と平年値(87・7%)を下回っている。今後は毎秒最大5トンの放水を1週間ほど続けた後、天候や稲の生育状況に合わせて調整する。
外部リンク