あの吉野彰さんも読んでいた!『ロウソクの科学』
ファラデーの『ロウソクの科学』という本が今、話題です。ノーベル化学賞の受賞が決まった吉野彰さんが、子どものころに読んで刺激を受けたといいます。
150年以上前に書かれ、今も読みつがれています。内容や魅力について、開成中学・高校(東京都荒川区)で化学を教える宮本一弘先生に聞きました。(中田美和子、森泉萌香)
研究する気分味わえる
イギリスの科学者ファラデーは今から約160年前、子どもたちのためにクリスマスの講演を開きました。
ロウソクを用いた実験を見せながら、科学の基本的な現象を説明したのです。その内容をまとめた本が『ロウソクの科学』です。
宮本先生は、吉野さんがこの本の名前を挙げた時に「この人もか! と思った」といいます。自身も小学生のとき、読んでわくわくした覚えがあったからです。
「研究って何だかまだわからないけど、科学者のたどった道筋をたどるようで、自分も科学者になった気分が味わえたのです」
同じような気分は、ファーブルの『昆虫記』でも感じたといいます。「正しい知識を知るだけでなく、正しいといわれることがどう導き出されたかがわかる点が共通しています」
火をつけたロウソクを観察すると、上部に溶けたロウがたまる「くぼみ」があります。『ロウソクの科学』ではこのロウがなぜしんを上っていくのか、しんを上りきるとどうなるのか、実験をまじえて順々に説明していきます。
ものには固体、液体、気体という三つの状態があります。ロウソクの燃えるようすを通して、この三つの状態を観察できます。「とても身近なものをいろいろな切り口で語っているところもすぐれている」と宮本先生はいいます。
実験してみよう
本で紹介している実験の一つを、大人といっしょに試してみましょう。太いロウソクと細いロウソクを用意します。
太いロウソクを静かに消し、すぐにそのしんのそばに火のついた細いロウソクを近づけます。すると太いロウソクに再び火がつきます。これは、しんの周りに気体になったロウがあるからです。
ロウソクを強くふき消すと気体が飛んでしまいます。静かに消すのがコツです。
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