空からのたより
秋は四季の中で一番過ごしやすいと感じる人が多いようです。その理由は、夏の暑さから解放されて、何をするにもよさそうな日が増えるからでしょう。春の花粉症や夏の熱中症、冬のインフルエンザなど、他の季節と比べて病気の心配が少ないのもそう感じる理由の一つかもしれません。でも、そんな秋にも気をつけなければいけないことがあります。
みなさんは「気象病」という言葉を聞いたことはありますか? これは天気の変化がきっかけになって起こる病気のことで、頭痛やめまい、傷の痛みなどいろいろな症状があります。
雨が降りそうな時にいつも体調が悪くなるという人は、気のせいではなく、もしかすると天気の影響があるのかもしれません。気象病は、気温や気圧の変化が大きい時に起こるといわれています。実は、一年の中でそうなりやすい季節の一つが秋なのです。
秋というと、さわやかな秋晴れのイメージがあるかもしれませんが、実際は天気がめまぐるしく変わる季節です。まず、9月は台風が近づいたり、秋雨前線が本州付近にいすわったりすることで雨が降りやすく、気圧の変化が大きくなります。10月から11月にかけては移動性の高気圧と低気圧が短い周期でやってきます。晴れと雨が交互にやってくることで、気温や気圧が大きく変化します。
どれくらい気温の変化が大きいか東京の月別平均気温を見てみると、秋はひと月ごとに約5度ずつ下がっていきます。これは他のどの季節よりも大きな変化です。
ぜんそくも気象病の一つとされます。天気の変化に加えて、秋にダニの死がいやふんが増えることやブタクサやヨモギなど秋に飛ぶ花粉によるアレルギーが影響して、秋にひどくなることが多いそうです。
気象病の症状を和らげるためには、天気の変化とうまく付き合うことが大切です。自分がどんな天気の時に体調が悪くなるのかを調べて、気温の変化が大きくなりそうな時はぬぎ着しやすい服装にするなど工夫しましょう。
秋は運動会や遠足、学芸会など、行事の多い季節です。体調を整えて元気に楽しみたいですね。
参田佳織さんだ・かおり 日本気象協会気象予報士香川県出身。2004年から7年間、ラジオやテレビで気象解説を担当。現在は、新聞のコラムなどを執筆している。
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