子宮体がん1
今日はおりものの様子が変だと心配しているお母さんが相談にやって来ました。
ママ 出血じゃないけれど、おりものが茶色っぽくて。
モモ 少量の出血だと茶褐色のおりものとして出てきますから、出血じゃないとは言えません。子宮体がんはその程度の出血がきっかけで見つかることがよくあります。
ママ えー、子宮体がん! 子宮体がんだったら、出血があるということはかなり進行してるということかしら。
モモ 子宮体がんの早期や、その前段階である子宮内膜増殖症という病気でも不正性器出血があります。そういう点では、不正性器出血に気づいた時点ですぐに診察を受ければ、子宮体がんは早期に見つかりやすいと言えます。
ママ 子宮内膜増殖症!?
モモ 一番多い原因はホルモンのバランスの乱れです。子宮内膜は月経周期において、排卵前に卵巣から出るエストロゲンで増殖して、排卵した後に卵巣から出るプロゲステロンで増殖が抑えられて妊娠の準備に入り、妊娠しないとはがれて月経になるということを繰り返しています。でも、40代後半で閉経が近づくと、卵巣からのエストロゲンは出ているけれど排卵しないという状態が起こりやすくなります。そうすると子宮内膜の増殖を抑えてくれるプロゲステロンが出ないので子宮内膜は増殖しっぱなしになり、厚くなりすぎてはがれて不規則に出血します。
ママ 私、46歳で、最近月経が不順です。
モモ 年齢的によくあることですが、乱れたホルモンバランスが長く続くと、ホルモンとは関係なく子宮内膜が増殖するようになる。それが、子宮内膜増殖症です。
ママ 子宮内膜増殖症や子宮体がんは閉経が近づいたらなりやすいんですか?
モモ 閉経前後が発症のピークですが、若くても多嚢胞性卵巣症候群のようなエストロゲンは出ているけれど排卵しないというような病気では注意が必要です。脂肪細胞もエストロゲンをつくるので、太っている人の方がエストロゲンレベルが高く子宮体がんのリスクが高いようです。
ママ 私、当てはまってるし……。早速病院に行きます。
百枝幹雄(ももえだ・みきお)聖路加国際病院副院長 1958年生まれ。84年に東京大医学部卒業。東大講師を経て、現在、聖路加国際病院副院長・女性総合診療部部長。生殖医療や内視鏡手術などを専門とする産婦人科専門医。
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