生き方を考える糸口に
だれもが多かれ少なかれ、自分の見た目に悩みやコンプレックスを感じるものですが、病気のせいで顔が変形している、あざがある……といった症状があり、「人とは違う」ことに苦悩してきた人たちもいます。
そうした当事者と中高生が語り合うイベントが先月23日、東京都内で開かれました。当事者たちの三者三様の姿から、みなさんもぜひ、「生きるためのヒント」を考えてみてください。(八木みどり)
受け入れるのは簡単じゃない
「見た目問題」の当事者3人が登場。中学、高校での学校生活を振り返りつつ、自身の見た目との向き合い方も話してくれました。
石田祐貴さん(26)は、ほおやあごの骨が未発達な状態で生まれてくる「トリーチャーコリンズ症候群」。小さなあご、垂れ下がった目という特徴的な顔立ちに周囲の人が次第に慣れていっても、4月になればまた、新入生に指をさされる……ということが繰り返されてきたそうです。
遺伝子疾患により、髪や肌が白いアルビニズムの神原由佳さん(25)は中学生の時、部活動で仮入部したら、その髪色から「ヤンキーが来たぞ!」と言われてしまったそうです。
イベントでは半ば笑い話として語ったエピソードですが、「自分の『見た目』を受け入れているのか」と問われれば、そう単純ではありません。「そんな簡単に受け入れるなんてできないよ!」
おせっかい歓迎 安易な共感は…
「見た目」に悩む人に、他者はどう接していけばよいのでしょうか。
単純性血管腫という病気で、生まれつき顔に大きな赤いあざがある三橋雅史さん(37)。
中学、高校では友だちが一人もできませんでした。しかし、高校の卒業間際、「キャッチボールしよう」と声をかけてくれた級友の存在が、その後の人生のエネルギー源になったといいます。その経験から、「おせっかいを焼いて、関わろうとしてほしかった」との希望を口にしました。
石田さんは、顔についてストレートに質問してほしいといいます。「人は未知のことに恐怖を感じる。でも、知ればその恐怖は収まるから」。ただし、安易な共感は「自分のことは分かるわけないのに」と、うっとうしさを感じることもあるそうです。
神原さんには「私は気にしないよ」などと言ってくれる友達がいたそうですが、そうはいっても、見た目が気になってしまう自分の気持ちはどうしようもないもの。「見た目を気にする私を認めてほしい」と話します。
感情も含めて認めてほしい
最後に、中高生にメッセージを寄せてくれました。
三橋さんは「見た目問題当事者への接し方に、決まったやり方はありません。自分流で考えてもらえたら」とアドバイスします。
神原さんと石田さんは、見た目に悩む人に向けて、それぞれ「自分がつらいと感じたら、つらいと言っていい。その感情を認めてあげて」「3人の話を、みんなの生活に生かしてもらえたらうれしい」とエールを送りました。
参加者からは「共感している部分もあったが、そういう『共感』が迷惑にもなり得ることを知った」「三橋さんが『自分、サイコー!』と言っているのを見て、『あ、私、自分のこと好きじゃないな』と気づいた。自分のことを好きになりたい」といった感想が寄せられました。
イベントは「見た目問題」の解決を目指すNPO法人「マイフェイス・マイスタイル」と、朝日新聞の「withnews」が主催。朝中高特派員を含め、中高生約20人が参加しました。
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