よく、塾の生徒や保護者から「どうしたら算数(数学)ができるようになりますか?」という質問を受けます。そんなとき私は決まってこういいます。「丸暗記をやめましょう」
解き方や公式を丸暗記しているうちは、算数はできるようになりません。もちろん、面積とか割合とか速さとかの意味を知っていることは重要です。新しく習う言葉の意味は、確実に頭に入れてください。その上で、ではなぜ長方形の面積が「たて×横」で求められるのか、といったことを考えるところから、本当の勉強が始まります。
今年3月に経済産業省が出した「数理資本主義の時代」というタイトルのリポートにはこんな言葉が載っていました。「(新時代の経済の発展に)どうしても欠かすことのできない科学が、三つある。それは、第一に数学、第二に数学、そして第三に数学である!」
AI(人工知能)などが発達するこれからの時代は、ものごとを順序立てて論理的に考える力と、自分の考えを他者にわかりやすく説明できる力がますます求められるようになるでしょう。これらは算数の、そして数学の力にほかなりません。しかしこうした力は、丸暗記では決してみがくことはできないのです。
永野裕之
理数系専門の個別指導塾「永野数学塾」の塾長。著書に『ふたたびの確率・統計[1]確率編』(すばる舎)など
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