北海道唯一のプロオーケストラ札幌交響楽団。新型コロナの影響で3億円近い減収となり存続の危機が叫ばれる中、今月ようやく活動が再開しました。
札響は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため2月下旬から今月までに41公演の休止を余儀なくされる前代未聞の事態となりました。
◇演奏者もディスタンス
先月行われた試演会では、公演再開を目指し、現場では試行錯誤が繰り返されていました。
札響の舞台設営を25年にわたり切り盛りしてきた田中正樹さんにとっても感染対策は初めての経験。
ステージマネージャー田中正樹さん「これが今回の位置なので1、4mですけど通常だと90くらい」「指揮者とコンサートマスターがこれだけ離れていることも普段ない」
奏者同士の距離も15センチから30センチ広げました。
田中さん「ほんとは音楽って(距離を)詰めれば詰めるだけ音が固まるからいいなと思うんですけど」
コンサートマスター田島高宏さん「与えられた状況でベストを尽くすしかないのでしばらくは厳しいものだと思って覚悟を持ってその時のベストを探っていきたい」
◇待望の演奏会再開
8月1日、クラシックファンも半年近く待ち望んでいた公演再開の日です。
観客は「月に1回来ていたので楽しみと年齢もあるから怖さもある」「ほんとに楽しみにしていた」
座席の前後左右をあけたため、この日の観客は収容人数の4分の1のおよそ500人。安心して音楽を楽しんでもらうこと、そして感染拡大を起こさないことを最優先とします。
◇ステージ上も人数制限
コンサートマスター田島さん「緊張しました笑」「自分が楽しめないとお客さんも楽しめないからとにかくきょうは楽しんで弾こうと思った」歓声の代わりの温かい拍手です。
ステージの密を避けるため、予定していた半分の最大43人での演奏となりました。
大ホール・キタラでの公演としては小規模ですが、奏者の熱量が、それを感じさせない熱気と迫力に満ちた響きを生み出しました。
観客は「やっぱり生はいいなと思いました/幸せな時間でした至福の時間をいただきました」
◇ここがスタートライン
オーボエ首席奏者関美矢子さん「しんどかった時も長い時間ありましたけどそれを忘れられるくらいすごく楽しかった。」
田中さん「ようやく始まったという感じなので2、3回目に向けていい形で提供したい」
新しい様式でコンサートを再開した札響。音楽への強い思いを新たにして、また進み出しました。