種類多いけど…何を選べばいい?
ドラッグストアの日焼け止めコーナーには「子どもも使える」と書かれた商品がいくつも並んでいます。パッケージの数字や、売り文句はさまざまです。どうちがい、どう選べばいいのでしょう。子どもの皮膚にくわしい医師に聞きました。(岩本尚子)
「SPF」と「PA」数値の小さい物を
運動会や遠足が晴天にめぐまれ、日焼けした人もいるでしょう。やけどのように赤くなったり、しばらくして黒くなったりするのは、太陽光にふくまれる紫外線の影響です。強いエネルギーをもっていて、たくさん当たると皮膚がダメージを受けます。
日焼け止めの容器に書いてある「SPF」の数値と「PA」の「+」の数は、日焼けをおくらせる効果を示します。「子どもも使える」とされる商品を見るとSPF25~35、PA++くらいです。
商品の種類が増えていて、パッケージの売り文句はさまざま。ドラッグストア「ココカラファイン」の登録販売者、木内紘美さんは子どもをもつ保護者から「おすすめは?」と聞かれることがあるそうです。木内さんはアルコール消毒で赤くなる子なら「アルコールフリー」の商品を、手を口に入れるような小さい子には「食品由来」の商品などを提案します。
「まずはテスター(試供品)をうでの内側にぬって、夜になっても赤くならなかったら、また買いに来てください」とすすめます。これは、アレルギーが出ないか確かめる「パッチテスト」といいます。
散乱剤タイプかぶれにくい
日焼け止めで紫外線を防ぐ成分は「紫外線散乱(反射)剤」と「紫外線吸収剤」に大きく分けられます。紫外線散乱剤はとても小さな金属の粒で、紫外線をはね返します。光も反射するので、白っぽく見えます。
紫外線吸収剤は化学物質で、紫外線のエネルギーを吸い取って、熱エネルギーなどに変えます。透明でぬりやすいところが人気です。
わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市)院長の野﨑誠さんは子どもの患者には、数値が低く「紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)」の日焼け止めをすすめます。数値が低ければ日焼け止め成分が少なく、刺激が弱いということ。そして吸収剤の化学物質よりも、散乱剤の金属のほうが、かぶれる人が少ないためです。
「日焼け止めにはさまざまな成分が入っています。その子が何にかぶれるかはわからず、子ども向け商品だから大丈夫、ともいいきれません。パッチテストで試してみるしかありません」
たっぷりぬろう
日差しの強い地域でなければ「SPF20~25、PA++」で十分だそうです。ただし、ぬる量は「白く見えるくらいべったり」で、2時間くらいでぬり重ねます。あせや洋服、かみの毛のこすれで落ちてしまうためです。
とれかかったままにすると、まだらに焼けてしまうこともあります。そして、家に帰ったら必ず、洗い落とします。
紫外線の強いオーストラリアでは皮膚がんが多く、大人も子どもも日焼けを避けています。日本では皮膚がんは多くはありませんが、紫外線の量は増える傾向にあり、日本小児皮膚科学会は子どものころからの紫外線対策をすすめています。
野崎さんは「日焼けで赤くなると、痛いよね。大人になってから、しみやしわができるよ。帽子をかぶって、日焼け止めをぬっておいたほうがいいですよ」と呼びかけます。
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