この日は私服で写真撮影に臨んだ。イメージの元は映画「バンブルビー」の主人公、チャーリーだ。18歳の誕生日、自動車形からロボット形へと姿を変える地球外生命体に出会い、バンブルビーと名付ける。
チャーリー役で初めて、実写映画の日本語吹き替えに挑戦した。2007年から映画化が続く「トランスフォーマー」シリーズの始まりの物語。「この世界観、好きですね。吹き替えですけど、ハリウッド作品に参加できてすごくうれしいです」。実写での参加は、と聞くと、「そんなことができたら幸せですね……!」。まだ夢の先だ。
やり場のない憤りを抱えながらも、気持ちを誰にも話せないチャーリーと、思い出が重なった。高校2年生の時、ドラマの撮影が続くようになると、高校のダンス部の仲間に、思っていることが言えなくなった。
顧問の先生に背中を押され、やっと意見を伝えると「何か、太鳳っぽいね」と受け入れてもらえた。「意外に周りの方が理解してるんだな」と、自分を知るきっかけにもなった。
その後、俳優として出演作品はたえまなく、経験を重ねてきた。でも「自分は本当に成長しているのかな」と不安を覚えることがあるという。「何をしていけば、また新しい自分になれるのかな、と。自分を更新していかなければいけないので、悩むんです」
だから、人と会うように心がけている。そんな中で「今、こうしていることが当たり前じゃない」と気づき、「今日、あの場に立ててよかった」「また会えてうれしい」と、一つひとつ実感できるようになった。「今、こうやって一人ひとりに会えていることが、本当にいとおしいです」
Message
進級、進学を控えるみなさんへ。「中学生の時に見た桜や、ドキドキしている気持ちを今、思い出しました。大丈夫かな、友だちできるかなって時期ですよね。でも不安があるってことは、ちゃんと相手のことを思いやったり考えたりしてるってことだから、自信を持って、人と関わってほしいなと思います」
1995年2月3日生まれ、東京都出身。2015年、NHK連続テレビ小説「まれ」に主演。18年の主演作にドラマ「チア☆ダン」、映画「春待つ僕ら」などがある。出演ドラマ「砂の器」(フジテレビ系)は28日放送。映画「バンブルビー」は22日公開。
(文・岩本尚子、写真・関口達朗)
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