丸亀市沖の本島で、デンマーク王立芸術アカデミー建築学科の学生と市内の企業が連携し、空き家を外国人観光客向けのゲストハウスに改築するプロジェクトが進んでいる。学生2人が4月から3カ月間、本島に滞在し、築90年の日本家屋に断熱や採光など北欧の建築の考え方を取り入れたり、住民との交流の場となる農産物のミニマーケットを併設したりするプランをまとめた。学生は「本島の活性化のため、ゲストハウスが人を集め、つなぐプラットホーム的な存在になれば」としている。
同学科との連携は、北欧家具などの販売会社(丸亀市綾歌町)の高木智仁社長(41)が同学科の教授との親交を生かし、2017年にスタート。同年10、11月には教授と学生12人が本島に約3週間滞在し、活性化に向けた調査研究を行った。
今回のプロジェクトは一昨年の研究成果の具体化が目的で、本島で不足する宿泊施設を整備しようと空き家をリノベーションする。大学院に進学予定のヨセフィーヌ・ボルスさん(26)とペニーレ・アスルセンさん(27)が参加した。
改築する空き家は泊地区にあり、本島港から徒歩約5分で本島郵便局の隣に位置する。木造一部2階建てで延べ床面積約250平方メートル。ゲストハウスの名称は「Villa 泊(ヴィラ・とまり)」とした。
2人は持続可能性と交流をキーワードに改築のプランを練り上げた。断熱材を入れて冷暖房のエネルギーコストを下げるほか、開口部を多くして採光を図り、特に中庭を囲む縁側は自然光が降り注ぎ、人が集まるスペースとする。
滞在中に住民との親睦を深めた経験を基に、利用客と住民をつなぐ役割を取り込むことを重視。島内の農産物などを販売できるミニマーケットをゲストハウス内に設け、交流が芽ばえるような場にする。
空き家は、高木さんらの企業ネットワークが所有者から譲り受け、ゲストハウスへの改修を進める。完成後の運営も担い、来春のオープンを計画している。宿泊定員は15人程度。
ヨセフィーヌさんは「本島と瀬戸内は海外からも人を呼び寄せる魅力を持っており、長期滞在の観光客や将来的には移住者が増えてほしい」と語り、ペニーレさんは「観光客らが住民と交ざり合い、島の食や自然を体験する場としてVilla 泊を活用してもらえれば」と期待している。
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