俳優 松山ケンイチさん
「デスノート」や「GANTZ」をはじめ、たくさんの漫画・アニメのキャラクターを実写で演じてきた。突然変異で生まれた炎を操る人種によって炎上した世界を描く劇場アニメ「プロメア」では、逆に声だけでアニメのキャラクターの肉付けに挑んだ。
演じたのは、火を消すのが役目の消防隊員ガロ・ティモス。とにかく熱く、「仲間がいないとすぐに死んでしまうのでは」と心配になる猪突猛進ぶりだ。その熱さをかたちにしようと、収録では声を張り続けた。代償は大きく、収録翌日の休みは1日寝込んでしまったという。
「プロの声優さんのすごさを実感した」と振り返る。例えば、憧れの人物に対して尊敬の念を示す場面。実写の作品なら目線やちょっとしたしぐさで表現できるが、今回はそれが使えなかった。「今後もアニメの仕事をやるうえでは掘り下げるべき技術かもしれない」と話す。
劇中ではパワードギアを着て、決め技を叫ぶシーンがある。ロボットアニメ好きの松山さんにとって気持ちのいい瞬間かと思いきや、必ずしもそうではなかった。理由は大好きなロボットアニメ「勇者王ガオガイガー」で必殺技を叫ぶ声優の檜山修之さんとの共演だったから。「必殺技を言う技術の到達点にいる人のような気がします。そこに近づこうとすると大変なことになるので、セリフとして一生懸命、自分なりに言うしかなかったですね」
高校生の時から俳優の仕事を続けているが、当時はなりたいものが決まっていなかったという。「とにかくいろいろな役を演じることで、仕事がおもしろくなってきました」。そんなキャリアを歩んでいるからこそ、「演じることは特別なことではない」と断言できる。「自分の中の正直な感性で、かっこいいものを選択し、それを演じていく。そこで得られるものが必ずあります。演じることに自分を委ねてみてもいいのではないでしょうか」
メッセージ
どんな役柄にも、お客さんに見てもらうべき、すばらしい一面がある――。そんなことを考えながら演じています。せっかくお金を払うのだから、見た作品から何かを持って帰ってほしいし、影響を受けてほしいですね。
1985年3月5日生まれ、青森県出身。NHK大河ドラマ「平清盛」や映画「カムイ外伝」など主演作多数。映画「プロメア」は24日公開。(文・松村大行、写真・関口達朗)
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