あなたに手紙を書きます。だれかの心に残る人になりたいあなたに手紙を書きます。
先日、私の故郷・兵庫県西宮市に住む女の子から手紙が届きました。以前、私が「ふるさとの六甲山の山並みが好き」と書いた手紙への返事でした。
日没寸前のオレンジや白やむらさきや青が混じった美しい空と、六甲山が写った写真が同封されていました。「六甲山の山並みが美しすぎて、写真に撮りました。私の家のベランダからです」と書かれたメモも同封されていました。
私は、泣きたいくらいに感激しました。子どものころに、何度も空を見上げては美しいと思った景色です。それと同じ風景を送ってくれる友だちがいる。その心づかいにも熱くなりました。
人に思いを伝える方法は文章だけではありません。写真もさまざまな思いを相手に伝えてくれます。あなたが美しいと思った花、空、動物の表情、笑顔、真剣な顔、働く姿、学ぶ姿など。それは、ただ景色が写真として写るだけではありません。あなたが「美しい」と思って、写真の構図を決め、パチリと写真を撮るまでのすべての気持ちがこめられるのです。だれかに見せたり、送ったりすれば、きっと相手の心に残ります。美しさや楽しさを共有する力が写真にはあるのです。
私はいただいた六甲山の風景を額に入れて飾りました。彼女の心も夕焼けも私の心にしっかりと残っています。
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ひきた・よしあき 博報堂のスピーチライター、博報財団コミュニケーション コンサルタント。
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