文化庁は20日、地域の有形・無形の文化財をテーマでまとめ、魅力を発信する「日本遺産」に、丸亀市と土庄町、小豆島町などが共同申請していた備讃諸島の石の島の物語など21道府県の16件を新たに認定した。2017年度認定の北前船ゆかりの「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間」には多度津町など7市町の追加が認められ、県関係は15年度認定の「四国遍路」(四国4県)と合わせて計3件に。今回の認定は第5弾で、日本遺産は計83件となった。
日本遺産は、地域活性化や観光振興につなげようと15年度から毎年認定。東京五輪・パラリンピックがある20年度までに100件程度に増やす。今回、岩手、鹿児島、沖縄3県でも初めて認定され、遺産がないのは東京都のみとなった。
備讃諸島の石の島の物語は「知ってる!?悠久の時が流れる石の島~海を越え、日本の礎を築いた せとうち備讃諸島~」のタイトルで、丸亀市と小豆2町が岡山県笠岡市と連携して申請。前年度もエントリーしたが落選し、構成する文化財を一部変更するなど内容を見直して栄誉に輝いた。
知ってる!?―では、2市2町に残る巨石や丁場(石切場)の景観と、石にまつわる信仰や食、伝統芸能などの文化をまとめた。構成文化財には、江戸時代に切り出した残石が点在する大坂城石垣石切とび越丁場跡および小海残石群(大坂城残石記念公園、土庄町)や、巨石・奇岩が並ぶ神懸山(寒霞渓、小豆島町)、塩飽水軍の拠点だった笠島集落(丸亀市本島)など計45点が盛り込まれている。
文化庁は「石、そして石丁への着眼点は興味深い。地元地域が連携し、あまり知られていない石の文化を通じた観光振興にも期待できる」と評価した。
多度津町では、北前船の寄港と交易により多度津港や回船業が発展し、多度津を起点にした金毘羅参詣も盛んになった。今回、航海日誌や模型和船などの関連資料群、回船問屋の住宅や土蔵、金毘羅街道沿いの町並みなど12点が構成文化財に追加された。
このほか、岩手、宮城両県の金産出の歴史を伝える「みちのくGOLD浪漫(ろまん)」や、三重県の「海女(Ama)に出逢(であ)えるまち 鳥羽・志摩」などが新たに加わった。今回は72件の申請があり、文化庁の有識者委員会が審査、選定した。
観光振興に期待
浜田知事の話 瀬戸内の島々に残る石切丁場跡などの産業文化が高く評価されたこと、全国に残る北前船の寄港地として多度津が認められたことを、大変喜ばしく思う。今後は日本遺産を核としたそれぞれの地域の魅力の発信が、香川の観光振興につながることを大いに期待している。
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