高松市が進める史跡高松城跡「桜御門」の復元整備事業が暗礁に乗り上げている。工事請負業者の相次ぐ指名停止で仮契約が2度解除となり、3度目の入札で落札した業者も死亡事故で書類送検され、契約は事実上ストップしたまま。19日の市議会総務委員会では「白紙に戻し、改めて入札すべき」として契約案の否決を決定した。落札業者の不祥事に市が振り回された格好で、瀬戸内国際芸術祭の目玉としてお披露目を目指していたが、“開門”は見通せない状況だ。
桜御門は披雲閣の正門に当たる櫓(やぐら)門で、1944年に当時の国宝への指定が決まっていたが、高松空襲により全焼した。市は瀬戸内国際芸術祭2019秋会期の開催に合わせ櫓門(幅約12メートル、高さ約9メートル)の復元を決め、16年度には石垣部分の積み直しが完了。実施設計を済ませ「施工業者の決定を待つのみ」の状態だった。
しかし、17年7月、1回目の入札で落札した安藤ハザマ(東京)は福島第1原発事故の除染事業に絡む不祥事で、18年1月の再入札で落札した清水建設もリニア中央新幹線工事を巡る談合事件で、いずれも指名停止となり、仮契約は解除となった。
昨年8月にあった三度目の入札では、指名停止期間が終了した安藤ハザマが再び落札。しかし、東京の建設現場での火災事故を巡り業務上過失致死容疑で警視庁の家宅捜索を受けた。こうした状況を受け、昨年の9月議会総務委員会で「捜査結果を見守る必要がある」などの意見が続出し、閉会中審査となっていた。
この日の委員会では「いったん白紙に戻し、しっかり議論すべき」として同案の否決を賛成多数で決定。委員からは「ここまできたら時期にこだわらなくていい」などの意見が上がった。市によると、22日の本会議で否決されると、07年3月議会の「廃棄物の処理手数料の引き上げに関する条例改正案」以来12年ぶりの否決となる。
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