「本屋さんの一期一冊」
書店員さんが、今おすすめの1冊を紹介します。
『八月のひかり』
小学5年生の美貴は、スーパーに勤める病気がちな母と、食欲旺盛で思ったことをすぐに口にしてしまう小学2年生の弟・勇希と、アパートで3人暮らしをしています。
母子家庭で貧しい生活をしていることで、クラスメートと距離を置く美貴には友達はいません。暑い日が続く8月、エアコンをつけない部屋で、仕事に行った母の代わりに、限られた食材で食事を作り、洗濯をする日々です。
そんなつらく貧しい日常ながら、母の愛を感じることで明るくまっすぐ生きていく彼女たちに胸が熱くなります。そして巻末の「17歳以下の子どもの7人に1人が貧困状態にあります」という一文で、本書のような生活をしている子どもたちが身近なところに存在することに気付かされます。
(千葉・オークスブックセンター南柏店 高坂浩一)
中島信子/著、汐文社、1512円
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