世界自閉症啓発デー
4月2日は国際連合が定めた「世界自閉症啓発デー」で、日本ではこの日から8日までの1週間を、自閉症をふくむ発達障がいの啓発週間としています。
日本でも人気の「セサミストリート」が協力し、自閉症の特性があるジュリアや仲間のキャラクターたちが、自閉症を多くの人に理解してもらおうと一役買っています。(編集委員・根本理香)
【自閉症と発達障がい】
自閉症(自閉症スペクトラム)は、他人への関心のうすさや特定の物事へのこだわりなどの特性が挙げられますが、特性のあらわれ方には大きな個人差があります。知的遅れをともなうこともあります。
自閉症のほか「注意欠陥・多動性障がい」や「学習障がい」などをふくむ発達障がいは、生まれつき脳の一部の働きに障がいがあるという点で共通しています。
ジュリア通じ 接し方伝える
セサミストリートは1969年から50年続いているアメリカの子ども向け教育番組です。エルモやクッキーモンスター、ビッグバードなど人形(マペット)のキャラクターと実際の人間の俳優が登場し、ニューヨークにある架空の通り「セサミストリート」を舞台に物語がくり広げられます。
日本では現在、テレビ放送はされていませんが、ユーチューブなどインターネットの動画サイトで見ることができます。キャラクターは雑貨などでも人気です。世界150以上の国や地域で愛され続けています。
セサミストリートの数あるキャラクターの中で、2017年に仲間入りしたのが、自閉症の特性があるジュリアという女の子。遊ぶことが大好きですが、少しちがった遊び方をすることがあります。
例えば、ジュリアが最初に登場した回では、初めて会うビッグバードが話しかけても、絵に集中するジュリアが見向きもしないし返事もしないという場面があります。
「ぼくのこと好きじゃないみたい」としょんぼりするビッグバードに、ジュリアとすでに友だちになっているエルモたちが「ジュリアは自閉症なんだ。
すぐにこたえられないことがあるんだよ」「ジュリアってみんなと少しやり方がちがうっていうか、ジュリアスタイルっていうか!」「ジュリアはとっても楽しい。ジュリアは友だちといるのが好きなんだ」と説明します。
通常学級に6.5%
文部科学省の2012年の調査によると、小中学校の通常学級の中に発達障がいの可能性のある子どもが6・5%、40人学級だと1クラスに2、3人いるといわれます。セサミストリートではジュリアを通じて、自閉症の子に対してどうやったらやさしく接することができるかを伝えています。
また、自閉症といっても、特定の音に敏感な人、あまり話さない人など、特性のあらわれ方はさまざまだということも紹介します。番組を見た人から「ジュリアが出てきてくれて希望が出た」「こんなやさしい世界に私も住みたい」などのコメントが寄せられているそうです。
互いが知り合うきっかけに
自閉症啓発デーのポスターやリーフレットにジュリアや仲間たちが登場したのは去年からです。「自閉症って?」「仲良くなる方法を見つけるには?」といった問いに答えています。
セサミストリートの制作などを担うセサミワークショップ日本代表の長岡学さんは「壁のない自由な世界がセサミストリートにはあります。みんなちがって、みんないいのです。
みなさんの周りにも多様な子どもたちがいることを知って、お互いに知り合いましょう」と話しています。2日には世界や日本の各地の名所などが、自閉症啓発のシンボルカラーである青色にライトアップされるイベントが行われました。神奈川県横浜市のみなとみらい21地区にある「よこはまコスモワールド」の大観覧車「コスモクロック21」も青色に輝き、通りがかる人の目を引いていました。
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