エンスタナビ
中学生や高校生のみなさんが、より深い学びに取り組めるよう、役に立つ情報を伝える「エンスタナビ」。この春の大学入試や高校入試を終えた先輩の体験談を紹介します。今回は東京外国語大学(国際社会学部)に入学したAさんです。目標を実現するために取り入れた工夫について教えてもらいました。(山田泉)
つきたい仕事で志望校決定
将来は、国際関係の仕事につきたい――。Aさんが、こんなふうに考え始めたのは小6のころ。中学受験に向けての勉強で、国際連合について学んだことがきっかけでした。世界をまとめる機関が存在することを知り、心が動かされました。
東京にある私立の女子校に進み、そのまま高校へ。先輩やまわりの友人たちが早稲田大学や慶応大学などをめざしていたことから、自身が大学受験と向き合うときも、ごく自然な流れで難関大学への進学をイメージしたそうです。
第1志望は、この春から通い始めている国立の東京外国語大学。グローバル化が進む現代では国内にとどまらずに世界とかかわることが大切と考え、目標に掲げました。Aさんが、とくに興味をもっていたのが国際法です。東京外国語大学の国際社会学部で、国際法など国際関係の分野を学びたいという気持ちの強さが第1志望の「決め手」になりました。
以前から関心があったイタリア語を学べることも、この大学を選んだもう一つの理由でした。テレビでイタリアの特集番組などを見て、美しい町並みやイタリアならではの陽気な雰囲気に引かれて「イタリアに行きたい。イタリア語を学びたい」という気持ちも高まりました。
実際の入試では、私立大学も4校ほど受験。いずれも法学部を受けました。
教材の反復で基礎かためる
勉強では、学校でおこなわれる定期テストを重視。こつこつと丁寧に対策に取り組むことで、基礎をかためることができました。
Aさんの勉強法のこつは「反復」にあります。同じ教材を何回もくり返すのがポイントです。1回目と2回目は、その教材のすべての問題を解きました。3回目以降は、2回目でミスをした問題だけをピックアップして解き直し。1冊すべてを正答に導けるようになるまでつづけました。なかでも世界史では効果があり、基礎をかためるのに役立ちました。
こうした勉強に取り組んでいたことから、高3になって本格的な受験勉強を始めたときも比較的、はやい時期に過去問(実際の入試問題)の演習に取りかかることができました。
直前の勉強中断が息抜きに
大学受験に向けた日々を過ごすなかで、つらさを感じた時期もありました。ことし1月にあった大学入試センター試験の直後でした。センター試験を終え、私立大学の入試が始まるまでの期間、勉強に対する疲れからか燃えつきたような状態におちいり、やる気が出なくなってしまいました。Aさんは「とにかく、はやく終わってほしいという思いでした」。
苦しさを家族に打ち明けると「無理をしないで、自分のペースでがんばればいい」というアドバイスが返ってきました。この言葉で気持ちが楽になり、思い切って勉強を中断しました。昼寝をしたり、インターネットの動画を見たり、ゲームをしたり。しばらくの間、勉強と距離を置いて好きなことをして過ごしたところ、息抜きの効果がありました。私立大学を受験するころには再び、やる気がわいてきたそうです。
目標を見失わず、やるべきことを積み重ね、第1志望の合格を手にしたAさん。「受験を乗りこえることで、精神力がきたえられた」と振り返ります。
将来は大学での学びを生かして大使館や、国連などの国際機関、外務省などで働くことを思い描いています。大学では国際法はもちろん、さまざまな条約などを学び、イタリアや英語圏の国で語学も勉強したいと考えています。そのための情報集めも、すでに始めているといいます。
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