みなさんが食べている学校給食の献立は、栄養士さんが栄養バランスを考えて作ってくれています。では、その栄養はどのように計算されているのでしょうか。答えは「日本食品標準成分表(食品成分表)」です。そもそも食品成分表とはどんなものなのでしょうか。改訂作業にたずさわる、千葉県立保健医療大学教授の渡邊智子さんに聞きました。(八木みどり)
日本の食の『今』を表す。改訂重ねて現在は第7訂
文部科学省が公表する食品成分表は、日本で標準的に食べられている食品に、エネルギーやたんぱく質、脂質、ビタミンなどの栄養素がどれぐらいふくまれているのか分析したものです。1950年に作られてから、改訂を重ねて、現在は第7訂。2294の食品がのっています。
渡邊さんは「食品成分表って『今』なんです。その時、日本人が一般的に食べているものが反映されています」と話します。改訂を重ねる中で、あつかう食品の数は、どんどん増えています。これは、日本が外国の食文化を取り入れ、食文化が多彩になってきたことも影響しています。
郷土料理も追加中
去年12月には、宮城県や山形県で食べられている、枝豆を使った「ずんだもち」が追加されました。それまでは、栄養士さんが給食の献立として使う場合、使われている食材から一つひとつ計算しなければなりませんでした。食品成分表にのることで、献立作りに生かしやすくなります。
2020年に予定されている次の改訂では、秋田県の「いぶりがっこ」や、滋賀県の「ふなずし」など、各地の郷土料理がさらに加わる予定です。
分析する栄養素も当初は14項目でしたが、分析技術が進化したことなどを受け、現在は50にまで増えました。
昔の成分表と比べて発見。原則、食材は削除しない
「昔の成分表と比べてみたり、よく見たりすると、いろいろな発見がありますよ」と渡邊さん。
米ぬかは、「食べる人は少ないのでは」という理由で5訂で削除したところ、「ぬか漬けに使うので、ないと困る」という声が寄せられたため、その後復活。渡邊さんによると、それ以後はどんな食材も基本的に削除しない方針になったそうです。そんなわけで、田んぼにいる「タニシ」のように、今では「一般的な食材」とは言えないのでは?というものも、7訂にはしっかり記されています。
みそとケチャップは、かつては「豆類」と「野菜」のところにありましたが、ともに「調味料」へと移動しています。
大豆は「豆類」ですが、大豆を未成熟な状態で収穫する枝豆は「野菜」というように、同じ植物でも分類が異なるものもあります。
食品成分表を見る上で注意したいのは、食品成分表にある値は「あくまでも平均的なもの」だということ。たとえば、あんパンは作るお店や会社によって、パンとあんこの割合はちがいます。「パンとあんの重さから栄養素を割り出し、成分表にのっているあんパンとのちがいを調べてみる――なんてことを試してみてはどうでしょうか」
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