2019年度の中学入試がひと区切りつきました。「次」に向けて、新しいスタートを切るみなさんも少なくありません。塾選びも、その一つ。自分に合う塾をみつけるには、どのような力を身につけたいのかをよく考えることが大事です。塾の選び方について、いくつかのポイントをまとめました。(大島淳一)
入試を念頭、情報豊富な進学塾
ここでは、勉強や「中学受験(受検)」を視野に入れた塾を対象とします。大きく「進学塾」と「補習塾」にわけることができます。
進学塾は中学受験を念頭に難関校や上位校の合格をめざすカリキュラムが組まれています。公立中高一貫校が実施する適性検査の対策に軸足を置くところもあります。
大手の進学塾の場合、それぞれの中学の出題傾向はもちろん、最新の入試動向など、受験にかんする情報を豊富にもっています。各中学の合格実績をもとにして、志望校や併願校選びについてもアドバイスをするところがほとんどです。
独自のカリキュラムや教材は入試を見すえて「穴」がない構成になっています。1週間単位で取り組む単元や内容がほぼ決まっており、テキストもかなりのボリュームがあります。
授業の進み具合ははやめで、理解が不十分なまま、つぎの単元を習うということも……。宿題や自宅で取り組む課題が多い塾もめだちます。
補習塾は基礎の定着をめざす
補習塾は小学校で勉強する内容を理解し、基礎をしっかり身につけることを目標のひとつにしているところが中心といえそうです。
中学に進学したあと、高校受験に臨むことを想定して、その力を高めるための「土台づくり」をめざすという塾もあります。
進学塾とは異なり、一般的に授業の進み具合は小学校と同じ程度か、それよりもややはやめといった感じです。「塾の授業についていくのが大変」「難易度が高くてついていけない」といった声はあまり聞かれません。
学校の授業の復習に重きを置き、理解が不十分な場合、個別にフォローするところもあります。
規模は小さめで、本格的な受験指導をする塾は少数派です。中学受験について指導する場合でも、塾のある地域やその周辺などエリアはかぎられます。入試にかんする最新の動向や、受験情報もあまりもっていません。
また、「総合塾」などとも呼ばれ、補習塾(学校の授業の定着)と進学塾(受験について指導)の特色をもち、それぞれに合うクラスやコースなどを設置しているところもあります。
人気上昇のプログラミング教室
塾とは別にここ数年、注目を集めているのが「プログラミング」を学習できる教室です。
いまの子どもたちが成長していくこれからの時代は、人工知能(AI)や大量の情報(ビッグデータ)を活用することが欠かせなくなるとみられています。そうしたスキル(能力)を身につけたり、みがいたりするのが、プログラミング教室の目的の一つ。お父さん・お母さん世代は学校でそれほど深く学んできませんでしたが、2020年度から小学校で全面的に実施される新しい学習指導要領ではプログラミング教育が必修化されます。
サイエンス(科学)のS、テクノロジー(技術)のT、エンジニアリング(工学)のE、マセマティクス(数学)のM――それぞれの意味をあらわす単語の頭文字をとって、科学・技術・工学・数学を重視する「STEM教育」に力を入れている学校では、入試でもその特色をいかし、算数やプログラミングなどのテストを実施するところもあります。こうしたことも、プログラミング人気の「追い風」になっているようです。
「偏差値」や「順位」など、成績の伸び具合からある程度の「よしあし」を評価できる塾とは異なり、プログラミング教室の場合、成果を判断しにくい面があるかもしれません。「全○回コース」と具体的なゴールが示されているカリキュラムをとり入れている教室を選択肢に入れてみるのがひとつの方法です。
アプリやゲーム(ソフト面)の製作か、ブロックやロボット(ハード面)のプログラミングかなど、教室によって力を入れる「軸」にちがいがあることも確認。進学塾で配布されるテキストにあたる「教材」がどのような内容なのかをチェックすることも忘れないようにします。もともとのスキルが高い場合、もの足りなさを感じることがあるといいます。
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