【名作の中のお菓子物語】
マッチ売りの少女
雪が降るおおみそかの夕暮れ。こごえそうな寒さの中を1人の女の子が、マッチを売り歩いていました。粗末な身なりで、そのうえ、はだしです。町の人は足早に家路を急いでいて、マッチを買ってくれる人はだれもいませんでした。売れなければ、お父さんにしかられるので、女の子は家に帰れません。
寒さにたえられなくなった女の子は、温まろうとして売り物のマッチを1本すってしまいました。手をかざすと温かくて、まるでストーブにあたっているように思いました。でも、マッチの火はあっという間に消えてしまいます。2本、3本……と、マッチをするたびに炎の中には、温かいガチョウの丸焼きや、クリスマスツリーが見えましたが、それはすぐに消えてしまいました。
次々にマッチをすっていると、そこに死んだおばあちゃんが現れました。おばあちゃんは、女の子をとてもかわいがってくれた人でした。女の子は、おばあちゃんが消えてしまわないようにと、持っていたマッチを全部すってしまったのです。すると、そのときです。女の子の体は、大好きなおばあちゃんといっしょに空へ高くまいあがっていきました。
新しい年をむかえた朝。マッチの燃えがらとともに、こごえて死んでしまった女の子の亡きがらがありました。町の人は「かわいそうに、マッチをすって温まろうとしたんだね」と口々にいいました。でもよく見ると、女の子の顔は、幸せそうなほほえみをたたえています。大好きな、優しいおばあちゃんに会えて、本当にうれしかったからかもしれませんね。
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ハンス・クリスチャン・アンデルセン(1805~75年) デンマークのオーデンセ生まれ。童話作家、小説家、詩人。代表作は、小説『即興詩人』(35年)や、童話『人魚姫』(37年)、『雪の女王』(44年)、『マッチ売りの少女』(48年)など。
☆マッチ棒のプリッツェル
『マッチ売りの少女』のモデルは、貧しい少女時代を送った、アンデルセンのお母さんだといわれています。お母さんへの深い愛情がこめられたお話だったのですね。
ところで、みなさんは「マッチ」を見たことがありますか? 細い木の棒の先に薬がついていて、その部分をこすって火をつける道具です。19世紀にヨーロッパで発明されたといわれます。日本でも以前は、どの家庭でも使っていました。
マッチ棒のプリッツェルを作りましょう。少しの材料で、40本ぐらい作ることができます。箱につめればステキな贈り物にもなります。2月14日のバレンタインデーにも役立つレシピです。
〈材 料〉
(4人分)
薄力粉…120グラム
ベーキングパウダー…小さじ3分の1
塩…ひとつまみ
バター…30グラム(冷やして、小さめにきざむ)
ブラウンシュガー…60グラム
牛乳…大さじ2~4
強力粉(打ち粉)…適量
チョコレート…適量
ホワイトチョコレート…適量
食紅(赤)…適量
〈作り方〉
① 薄力粉、ベーキングパウダー、塩をふるいにかける。
② ボウルに①と冷やしたバターを入れ、調理器具の「カード」を使って切りまぜたら、手でこすり合わせてパン粉状にする。
③ ②にブラウンシュガーを加えてまぜ、かたさをみながら牛乳を加えてひとまとめにし、ラップに包んで冷蔵庫で30分休ませる。
④ まな板に強力粉で打ち粉をし、③の生地を半分にし、それぞれを厚さ2~3ミリ、7~8センチ角にめん棒でのばす。
⑤ ④を調理器具のカードを使い、幅5ミリの棒状に切る。
⑥ クッキングペーパーをしいた天板に⑤を間隔をあけてのせ、170度に温めたオーブンで10~12分焼き、網の上にとりだして冷ます。
⑦ ⑥の半分のプリッツェルの先に、湯せんで溶かしたチョコレートをつける。固まったら、もう一度、ぷっくりするように重ねづけする。
⑧ ホワイトチョコレートを湯せんで溶かし、そこへ食紅を少量入れてまぜ、ピンクに色づけする。残りのプリッツェルの先につける。
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