これまでの勉強に対する理解を深め、もうワンランク上のレベルをめざすには、夏休みの取り組みを実りあるものにすることが欠かせません。中3や高3の受験生の場合、その「濃さ」が入試の行方を左右するともいわれています。充実した夏にするには、どうすればいいのでしょうか。今春の入試を経験した3人にポイントを聞きました。(山田泉)
睡眠や食事で健康管理を
Aさん(東京都・高校1年)
Aさんは中学のころ、ソフトテニス部に所属。中1と中2の夏は、日中は猛暑のなかで練習、夜は勉強という生活で体調をくずすこともありました。その反省から中3の夏は健康管理に留意。午後11時30分には就寝し、頭がよく働くように朝昼晩の3食をとることも忘れませんでした。
午前9時から午後4時まで塾の講習を受けたあと自習室へ。宿題の応用問題を解く一方、基礎をおろそかにしないように漢字や英単語も練習しました。講習とは別に夏の目標として掲げたのは「数学は不得意だった関数の範囲を毎日4問」「理科と社会は塾のワークを2周」「得意の英語は過去問の演習」。関数は起床してから塾にいくまでの時間、ワークは塾から帰宅してからの時間、過去問は講習の合間にある午後の自習時間に、それぞれ取り組みました。
Aさんが意識したのは「臨機応変」。その日にこなす量を考えたうえで別の日にまわすこともありました。「自分に対して『まあいいかな』と甘くすると、目標の達成から遠ざかる。少し先にのばしても必ずこなすようにした」
中3の夏は難易度が低めの高校を目標にしていたことから、休み明けの実力テストの結果をみても「このくらいでいいか」と受け入れていました。勉強した割に成績ののび具合はそう大きくなかったといいます。「おそれることなく、志望校は高い学校を設定すべき」と反省したそうです。
理解するまで先生に聞く
Bさん(三重県・高校1年)
1週間のはじめにその週の計画を立てるのがBさんのスタイル。夏休みが終わるころに全範囲が網羅できているように心がけました。社会と理科は得意だったので国語と数学、英語に力を入れました。数学と英語は塾、国語は作文の通信添削。目標は模擬試験で志望校の合格圏内に入ることでした。
まちがえたり、わからなかったりした問題は塾の先生に聞くことを徹底。塾にはBさんが第1志望に掲げた高校を卒業したチューターがおり、その高校のよさなどを聞いて勉強に対するモチベーション(やる気)を高めたそうです。
「夏を制するものは受験を制す」。この言葉通り、懸命に勉強を重ねました。「でも公立高校をめざす場合、多くの地域では来年の3月まで走りつづける。適度な気分転換も大事」。1年前をふり返り、こうアドバイスします。
達成率を確認しながら
Cさん(神奈川県・大学1年)
「1日をむだにしない。ためになったと思えることをする」。高3の夏をこんな気持ちで過ごしました。「テキストの○ページから○ページ」「単語帳を○ページ」「演習のプリント○枚」といった具合に1日のはじまり(あるいは前日)に取り組むリストを10個ほどまとめ、1日の終わりにどの程度できたかを確認。達成率は8割ほどで、できなかった分は翌日にまわすなどしました。
勉強に打ち込む一方、小1のときから習っていたバレエもつづけました。レッスンは週3回、8月には発表会にも参加しました。時間をはかりながら勉強に取り組み、バレエがある日は7時間、ない日は12時間。Cさんは「めりはりをつけることができ、よかった」。
いまふり返って後悔していることもあります。夏に大学入試センター試験の過去問に挑まなかったことです。数学は本番までに2~3周するつもりでしたが、結果的に間に合いませんでした。「まだはやいかなと思わずに、取り組めば……」。英語や現代文はこの時期から演習に取り組むと、問題に慣れることができるといいます。
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